妊娠初期の下痢が多い理由は?酷い時の対処法と胎児への影響

妊娠初期の下痢について

妊娠してから下痢が起こりやすくなったという方は、赤ちゃんに影響がないかと心配になることも多いのではないでしょうか?今回は妊娠初期に起こる下痢の原因やいつまで続くのか、対処法、胎児への影響をご紹介します。
  1. 1.はじめに
  2. 2.妊娠初期とは
  3. 3.妊娠初期の下痢の原因
  4. 4.妊娠初期の下痢はいつまで続くか
  5. 5.妊娠初期の下痢の対処法
  6. 6.妊娠初期の下痢の胎児への影響
  7. 7.まとめ

はじめに

妊娠した喜びも束の間、身体の変化やそれに伴って現れる症状に悩まされている方も多いのではないでしょうか?
その症状の1つに下痢がありますが、なぜ妊娠すると下痢が起こるのでしょうか?
今回は妊娠初期に起こる下痢の原因やいつまで続くのか、対処法、胎児への影響をご紹介します。

妊娠初期とは

妊娠初期とは一般に妊娠4週〜15週までを指します。
妊娠初期はホルモンのバランスが急激に変化し、身体の至る所で変化があります。
つわりが始まり、下痢もこの時期に起こります。

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妊娠初期の下痢の原因

妊娠中の下痢には様々な要因があります。

1.黄体ホルモン(プロゲステロン)の変化
黄体ホルモンは妊娠を継続させる為に必要なホルモンの一種ですが、腸の蠕動(ぜんどう)運動を抑制してしまう働きがあります。腸の蠕動運動とは、消化した食べ物を便として排出するための動きです。

この働きが抑制されると、腸に溜まった便の水分をコントロールするのが困難になります。
便の水分が抜けると便が硬くなって便秘が起こり、水分が多くなると下痢になってしまいます。
だから下痢や便秘に悩む妊婦さんが多いのです。

2.便秘が原因で下痢になってしまう
矛盾しているように聞こえますが、慢性的に便秘を繰り返す事で下痢を引き起こす事もあります。

一定期間腸内に便が溜まり続けると、身体が便を強制的に排出するよう働き、結果として下痢になります。

3.つわりによる食生活の変化
妊娠すると味覚や嗅覚が変化し、つわりが起こるため、食生活が狂ってしまいます。

つわりが酷い方の中には固形物を食べられなくなる方もいます。流動食ばかり食べると食べ物から摂取する水分量が増えて下痢の原因となります。

また、つわりの中に定期的に食べ物を口にしていないと気持ち悪くなってしまう「食べづわり」というものがあります。
妊娠中は身体が多くの栄養を欲するので、食べづわりになる方も多いです。

食べづわりの方の中には普段の2~3倍の量を食べてしまう方もいて、この場合、食べ過ぎで下痢を引き起こします。

4.食べ物による下痢
妊娠すると、妊娠前は食べても何も起こらなかった食べ物が原因で下痢を起こすケースもあります。

下痢の原因になりやすい食べ物は乳製品、果物、そして生ものです。

特に生ものは要注意です。妊娠中は生魚や生野菜を避け、過熱調理したものを食べるようにしましょう。

5.鉄剤を服用している場合の下痢
授精卵が着床すると、妊娠維持と胎児の成長が優先的に行われます。

これにより大量の血液が必要になり、貧血が進んでしまう方は鉄剤を処方されるケースがあります。この鉄剤の副作用の1つに胃腸を刺激する作用があり、下痢を引き起こす事があります。

また、妊娠前から服用していた鉄剤が、妊娠前には副作用が出なかったとしても、妊娠すると副作用が出てしまうこともあります。

6.免疫力低下による下痢
妊娠中は免疫力が低下しやすく、感染症や食あたりにもなりやすいです。

また母体には何ともない食材でも、胎児に悪影響を及ぼす可能性があるものは、胎児を守るために身体が排出しようとし、下痢になることがあります。

7.自律神経の乱れによる下痢
女性ホルモンの分泌と自律神経の調整は脳の視床下部という同じ部位で行われています。

妊娠すると女性ホルモンの分泌が優先されてしまい、腸蠕動運動をコントロールしている自律神経が乱れ、下痢や便秘を引き起こします。

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妊娠初期の下痢はいつまで続くか

原因によっても異なりますが、ホルモンバランスが安定する妊娠中期に落ち着く方が多いです。

ただ、個人差が大きいため、なかなか症状がなくならない場合もあります。

下痢が続いて心配な方は、健診時に専門医に相談すると良いでしょう。

また下痢と共に腹痛、吐き気、発熱等が伴う場合はすぐに病院に行きましょう。
ただの下痢ではない可能性があります。

妊娠初期の下痢の対処法

妊娠初期の下痢の対処法は普通の下痢と殆ど変わりません。

・消化に良い食べ物を摂取する
消化の良い代表的な食べ物は、おかゆやうどん、食パン等の炭水化物、リンゴやバナナといった身体に優しい果物、ほうれん草やキャベツ等の葉物野菜です。

特に下痢で食欲がない方には酸味の少ないすりおろしたリンゴがお勧めです。

・冷たい食べ物・飲み物は避けてお腹を温める

暑い時期になると、冷たい飲み物が飲みたくなりますが、身体を冷やす原因になるので、できるだけ温かい飲み物を飲むようにしましょう。

またサラダ等も身体を冷やす原因になるので、スープなどに替える事をお勧めします。

・良く噛んでゆっくり食べる
しっかり噛んでから食べる事で食べ物の消化や吸収がスムーズになります。

・一度に食べる量を減らし、数回に分けて食事をする
下痢を起こしている時は一度にたくさん食べてしまうと、胃腸にも負担がかかります。

この場合、1日の食事量は変えずに、5~6回に分けて食事をするとよいでしょう。

・規則正しい生活
体調を整えることで下痢の症状を緩和できる事があります。

食生活、睡眠時間に気をつけ、生活の乱れを正すことで、下痢だけではなく、他の身体の不調も改善する事が可能です。

この機会に生活全体を見直しましょう。

・バランスの良い食生活
妊娠中は普段より多くの栄養素が必要になります。

食生活が乱れると免疫力が低下して下痢になるので、毎日バランスの良い食事を摂りましょう。

具だくさんのお味噌汁やスープがおすすめです。

妊娠初期の下痢の胎児への影響

下痢をすると腹圧が頻繁にかかるので、流産が心配だという方も多いのではないでしょうか?

しかし、下痢が直接胎児に影響する事はありません。
注意が必要なのは、下痢そのものよりも下痢をしている原因です。
この原因が時に流産や胎児の発育に影響を及ぼします。
その一番の原因が冷えです。

お腹や身体が冷えると、子宮の収縮が頻繁に起こり、これによって流産を引き起こすことがあります。
また下痢が長引くと脱水症状や栄養不足を招いてしまい、発育不全等の原因にもなります。
下痢が酷い場合は病院に行き、点滴等の適切な治療を受けましょう。

まとめ

妊娠初期の下痢について理解していただけたでしょうか?

妊娠初期の下痢は直接的には胎児に影響がありませんが、下痢が起こっている原因によっては赤ちゃんに大きな影響が出る可能性もあります。

からだに不調があるときは、自己判断ではなく、かかりつけの医師に診てもらうようにしましょう。

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