細小血管合併症の重症化や重複でQT間隔延長リスク高まる、日本医大

日本人の2型糖尿病患者において、糖尿病網膜症や腎症といった細小血管合併症が重症化する、もしくは神経障害を含めた3つの細小血管合併症が重複すると、致死的な不整脈につながる心電図のQT間隔延長リスクが高まることが、日本医科大学付属病院糖尿病・内分泌代謝内科の小林俊介氏と長尾元嗣氏らの研究グループの検討で分かった。

2型糖尿病患者の死亡リスクを低減するためには、QT間隔といった心電図所見にも注意する必要があるという。
詳細は「Journal of Diabetes Investigation」11月2日オンライン版に掲載された。

心電図のQT間隔延長は致死的な不整脈を引き起こし、心臓突然死のリスク因子になることが知られている。
また、大血管合併症や細小血管合併症は糖尿病患者における心臓突然死の独立したリスク因子であり、これらを合併した患者ではQT間隔延長リスクが高いことも知られている。

研究グループは今回、2型糖尿病患者の細小血管合併症(糖尿病神経障害、網膜症、腎症)に着目し、これらの合併症の重症度や重複数とQT間隔との関連を調べる観察研究を行った。

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対象は、同大学病院に血糖コントロールのために入院した2型糖尿病患者219人(平均年齢は60歳、31%が女性、平均HbA1c値は9.5%)。QT間隔は、入院当日に行った12誘導心電図の第II誘導の記録で評価し、Bazett法の補正式を用いて心拍数の影響を補正した。

糖尿病神経障害、網膜症、腎症の有無や重症度は、それぞれ神経障害症状やアキレス腱反射の有無、眼底検査、尿中アルブミン排泄量で評価した。

全ての対象患者のQT間隔は430±22msecであり、35%(76人)にQT間隔延長が認められた。単変量解析の結果、QT間隔延長と関連する患者の特徴として女性(P=0.025)、2型糖尿病の罹病期間(P=0.041)、BMI(P=0.0008)、収縮期血圧(P=0.0011)、インスリンの使用(P<0.0001)が浮かび上がった。

また、糖尿病神経障害または網膜症、腎症を合併した患者群では、これらの合併症がみられない患者群と比べてQT間隔が有意に延長していた(それぞれP=0.0005、0.0019、0.0001)。
特に網膜症と腎症の病期が進行するにつれてQT間隔は有意に延長したほか(いずれも傾向のP<0.001)、3つの細小血管合併症が重複するとQT間隔は有意に延長した(傾向のP<0.001)。

さらに、多変量回帰分析の結果、神経障害または腎症の合併と細小血管合併症の重複数がQT間隔延長と独立して関連することも明らかにされた。

以上の結果から、研究グループは「日本人2型糖尿病患者における心電図のQT間隔延長には細小血管合併症の重症化や重複が影響することが分かった。
QT間隔延長は心臓突然死のリスク因子であることから、2型糖尿病患者の死亡リスクを低減するためには心電図所見にもっと注意を払う必要がある」と述べている。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2017年11月20日
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