薬物中毒死の増加で米国の平均余命が短縮

米国立健康統計センター(NCHS)は2017年12月21日、2016年の米国人の死亡データをまとめた報告書「Mortality in the United States: 2016」で、米国人の平均余命が2年連続で短縮したことを明らかにした。

近年、米国では鎮痛薬のオピオイドを中心とした薬物の過剰摂取による中毒死が増加しているが、特に20~50歳代の若い層で薬物中毒死が増えたことが平均余命を縮めた一因とみられている。

報告書によると、2016年の米国民の平均余命は78.6歳で、2015年と比べて0.1年短縮。2015年も前年から0.1年短縮していた。

同センターのBob Anderson氏によると、2016年には薬物中毒による死亡者が前年と比べて21%増加しており、このことが平均余命を縮めた要因の一つとして考えられるという。
同年の薬物中毒による死亡者は6万3,600人で、HIV感染が拡大した1990年代半ばのエイズによる死亡者数(約4万人)を大幅に上回っていた。
「この傾向が続き翌年も平均余命がさらに短くなれば、インフルエンザのパンデミックが発生した1918年以来、初めて3年連続で平均余命が短縮することになる」と同氏は警鐘を鳴らす。

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米国では約10年前から薬物中毒による死亡者は増え続けていたが、米国人の主要な死因である心疾患による死亡者が減少傾向にあったため、平均余命の短縮には至らなかった。
しかし近年、心疾患死の減少が頭打ちとなったため薬物中毒死による余命への影響が顕著にみられ始めた。

また、薬物中毒死が最も多かった年齢層は25~54歳で、この層では10万人当たり約35人が薬物中毒によって死亡していた。2015年と比べた2016年の全死因による死亡率も、高齢者では低下していたが、より若い年齢層では上昇していた。
こうした若年層での死亡率上昇が米国民の平均余命を縮めた要因となった。

オピオイドの中でもフェンタニルなどの合成オピオイドに関連した死亡が特に増えており、10万人当たりの発生率は2015年の3.1人から2016年には6.2人に倍増したことも分かった。

薬物中毒死が特に多い州はウェストバージニア州(10万人当たり52人)、オハイオ州(同39人)、ニューハンプシャー州(同39人)、コロンビア特別区(同39人)、ペンシルベニア州(同38人)だった。

なお、心疾患のほか、がんや慢性下気道疾患、糖尿病による死亡率は前年と比べ低下または横ばいだった。
一方、薬物中毒のほかアルツハイマー病や自殺による死亡率は上昇していた。
2016年の死因の上位10位を見ると、事故死(薬物中毒死を含む)が心疾患、がんに次ぐ第3位に浮上し、前年に第3位だった慢性下気道疾患は第4位に順位を下げた。

今回の報告を受け、米国立中毒・薬物乱用センターのLindsey Vuolo氏は「オピオイド中毒蔓延の規模の大きさと、薬物中毒の問題の根深さが浮き彫りになった」と指摘。
心疾患などの慢性疾患と同程度の規模の取り組みが必要だと強調している。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2017年12月21日
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