ドローンによる生体試料の輸送で最長距離を記録


84人分の血液試料をドローンに積み込み、アリゾナの砂漠の上空を161マイル(約260km)にわたって飛行させたところ、着陸後の検査で血液試料の質に異常は認められなかったという。
詳細は「American Journal of Clinical Pathology」9月5日号に掲載された。
Amukele氏らは今回、血液試料をドローンで長距離輸送することによる影響について検討した。
血液試料は米アリゾナ大学で84人からドローン輸送用と地上での保管用を1組ずつ採取し、同大学から76マイル(約122km)離れた飛行場へ自動車で運んだ。
飛行場に到着すると、血液試料をドローンに装備した一定の温度に保たれたチャンバーに積み込んだ。
もう片方の血液試料は飛行場に駐車した自動車の一定の温度に保たれた車内に置いたままにした。なお、この実験中の平均温度はドローンのチャンバー内が24.8度、自動車内が27.3度だった。

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ドローンは161マイルの距離を飛行し、飛行場に戻ってきた。飛行時間は3時間だった。
このフライト実験の後、全ての血液試料をアリゾナ州スコッツデールのメイヨークリニックまで運び、分析したところ、ドローンで輸送した血液と自動車内に置いていた血液との間に赤血球、白血球、血小板の数、ナトリウム値などの違いは認められなかった。
ただ、血糖値とカリウム値はわずかだが有意差があったとしている。
Amukele氏は「道路がなくてもドローンがあれば生体試料の輸送が可能となり、迅速な診断や治療を困難にする交通事情の問題を克服できる。
これは21世紀で最高の医療用試料の輸送システムになりそうだ」とコメントしている。

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