高齢の糖尿病患者では食べる量が少ないことも死亡リスクを高める

高齢の糖尿病患者では「食べ過ぎ」だけでなく「食べなさ過ぎ」が死亡リスクの上昇と関連しているとの報告が「Geriatrics & Gerontology International」オンライン版に12月10日掲載された。東京都健康長寿医療センターの大村卓也氏、荒木厚氏らの研究グループが「J-EDIT研究」のデータを解析した結果、明らかになった。

 J -EDIT研究は65歳以上の高齢糖尿病患者への治療介入効果を検証した多施設共同研究。今回はこのJ -EDIT研究登録者のうち、食事摂取に関する記録がある患者756人を対象とした。アンケートの回答から推定した摂取エネルギー量を体重当たりに換算した値で全体を四分位に分け、6年間前向きに追跡し全死因による死亡率との関連を検討した。

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 対象者の摂取エネルギー量は1,397~2,086kcalの範囲に広がり、最も多い第4四分位群(2,086±361kcal)は最も少ない第1四分位群(1,397±223 kcal)の約1.5倍摂取していた。実測体重1kg当たりの摂取エネルギー量は、第1四分位群から順に、24.85kcal/kg以下、24.86~29.73kcal/kg、29.74~34.78kcal/kg、34.79kcal/kg以上だった。なお、4つの群の指示エネルギー量の平均は1,458~1,490kcalの限られた範囲にあった。

 追跡期間中に59人が死亡した。年齢、性別、BMI、HbA1c、収縮期血圧、LDL-C、eGFR、身体活動量、虚血性心疾患や脳卒中の既往、低血糖の頻度、および蛋白質摂取量で調整の上、死亡リスクを検討すると、摂取エネルギー量が最も少ない群と最も多い群ともに死亡リスクが上昇するU字型の関係が認められた。具体的には、第3四分位群を基準として、第1四分位群のハザード比は3.83、第2四分位群は0.92、第4四分位群は1.60であり、第1四分位群は有意にリスクが上昇していた(P=0.002)。

 最近まで指示エネルギー量算出の基準とされてきた標準体重〔身長(m)×身長(m)×22〕当たりの摂取エネルギー量で検討した場合も、同様にU字型の関係が認められた。ただしリスクが最小の第3四分位群の摂取エネルギー量は31.45~36.42kcal/kgであり、これは身体活動強度「中等度」の場合に用いる係数(30~35kcal/kg標準体重)に近いことから、身体活動強度「軽度」の係数(25~30kcal/kg標準体重)で摂取エネルギー量を設定すると、多くの高齢糖尿病患者に摂取量不足を招くと考えられた。

 さらに、このような摂取エネルギー量と死亡リスクの関係は、炭水化物、脂肪、食物繊維の摂取量で調整しても保たれていた(蛋白質については前記の検討時に調整済み)。よって高齢の糖尿病患者では、特定の栄養素の摂取量の多寡とは無関係に、十分なエネルギー摂取を確保することが重要であることがわかった。

 なお、今回の検討で最もリスクが高かった第1四分位群は、摂取エネルギー量と身体活動量が少ないにも関わらずBMIが最も高値で、サルコペニア肥満患者が多く含まれていた可能性があり、そのことによる死亡リスク上昇への影響が考えられた。また対象を65~75歳未満と75歳以上に分けて検討すると、75歳以上では第3四分位群が最も低リスクだったが、65~75歳未満では第2四分位群のリスクが最低であり(第3四分位群に対してハザード比0.63)、より高齢な患者ほど摂取エネルギー量不足の影響が大きいことが示唆された。

 これらの結果から研究グループは「高齢の糖尿病患者には、年齢を考慮し過不足なく摂取エネルギー量を設定することが望ましい」とまとめている。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2020年1月6日
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