1日2杯以上コーヒーを飲む高齢者は肺炎が少ない―国内多施設共同研究

 コーヒーを1日に2杯以上飲む高齢者は肺炎のリスクが低い可能性を示唆するデータが報告された。他方、緑茶の摂取は肺炎リスクとの関連が見られないという。大阪市立大学医学部の近藤亨子氏らの研究によるもので、詳細は「Scientific Reports」に3月10日掲載された。

 コーヒー摂取量が多い人は心血管疾患や糖尿病のリスクが低いことが複数の研究から示唆され、米国からは肺炎のリスクとコーヒー摂取量が逆相関するとのデータも報告されている。肺炎は日本人の死因の上位に位置し、特に高齢者ではそのリスクが高いため、コーヒー摂取で肺炎リスクが低下するのなら、予防医学上のメリットも少なくない。ただ、日本人でのコーヒー摂取量と肺炎リスクの関連はまだ十分に検討されていない。近藤氏らの研究は、この点を明らかにする試みであり、コーヒーとともに日本人の生活に定着している緑茶の摂取量との関連も検討した。

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 この研究は2009年10月1日~2014年9月30日に、東京、愛知、福岡など1都6府県、24カ所の病院を受診した患者を対象とする、症例対照研究として実施された。65歳以上の肺炎患者199人を症例とし、肺炎以外の疾患で同じ医療機関(病院、クリニック)を同時期に受診した性別と年齢(±5歳)が一致する患者374人を対照とした。対照はできるだけ、呼吸器科とその他の診療科から各1人、計2名を選択した。除外基準は、老人ホーム入居者、誤嚥性肺炎患者、悪性腫瘍の患者、経口ステロイドや免疫抑制剤による治療を現在受けている患者、脾摘出の既往歴を有する患者。

 コーヒーや緑茶の摂取量は、最近1カ月の摂取量を聞き取り、以下のように分類した。コーヒーについては(1日あたり)、飲まなかった、1杯未満、1杯、2杯以上の4群。緑茶については(1日あたり)、1杯未満、1~2杯、3~4杯、5杯以上の4群。

 肺炎群と対照群を比較すると、BMI18.5未満が肺炎群で多く、基礎疾患の高血圧と糖尿病は対照群で多かった。その他、年齢、性別、肺炎やインフルエンザのワクチン接種、日常生活動作(ADL)、6歳以下の子どもとの同居、喫煙・飲酒習慣などは両群で差はなかった。

 肺炎のリスクに影響を与える可能性のある因子〔ワクチン接種、BMI、基礎疾患(呼吸器疾患、高血圧、糖尿病、心疾患)、ADL、子どもとの同居、喫煙・飲酒習慣など〕で調整後の解析で、コーヒー摂取と肺炎の間に以下の関連が認められた。

 コーヒーを全く飲まなかった人と比較すると、1杯未満/日の人の肺炎に対するオッズ比(OR)と95%信頼区間は0.69(0.39~1.21)、1杯/日では0.67(0.38~1.18)、2杯以上/日では0.50(0.28~0.88)となり、1日に2杯以上コーヒーを飲んでいた人のオッズ比は有意に低く、用量反応関係も有意だった(傾向性P=0.024)。

 一方、緑茶の摂取については、1杯未満/日の人と比較すると、肺炎に対するオッズ比は1~2杯/日の人は1.22(0.68~2.19)、3~4杯/日では1.18(0.67~2.05)、5杯以上/日では1.08(0.61~1.93)となり、有意な関連は認められなかった。

 これらの結果から著者らは、「コーヒーを飲まなかった人に比べて、1日に2杯以上を飲んだ人で肺炎に対するオッズ比の低下が認められた。緑茶の飲用は肺炎と関連がなかった」とまとめている。

 この結果の背景として著者らは、「カフェインやその代謝産物のテオフィリンによる呼吸機能改善作用や抗炎症作用、ポリフェノールによる腸内細菌叢の調整作用が、肺炎リスクを抑制する可能性がある」と考察している。また、緑茶の摂取と肺炎の関連を解明するためには、「コーヒーの作用にカフェインが関与しているとすると、コーヒー2杯分のカフェイン量は緑茶では6杯分に相当するため、緑茶をより多く飲む人での分析が必要であろう」としている。

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HealthDay News 2021年4月12日
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