安静時エネルギー消費量が糖尿病妊婦の栄養療法の指標となる可能性 岡山大グループ

耐糖能が正常な日本人の妊婦は妊娠後期になると安静時エネルギー消費量(resting energy expenditure;REE)が増えるが、糖尿病のある妊婦では血糖コントロールによりこのREEの増加が抑えられている可能性のあることが、岡山大学大学院産科・婦人科学教室の衛藤英理子氏と増山寿氏(教授)らの研究グループの検討で分かった。

REEは除脂肪量(fat-free mass)と強く相関することから、これらは糖尿病のある妊婦において医学的な栄養療法の指標となる可能性があるとしている。
詳細は「Journal of Diabetes Investigation」2017年12月27日オンライン版に掲載された。

厚生労働省は、妊婦の耐糖能が正常な場合には妊娠週数が経過するに伴って摂取エネルギー量を増やすことを推奨しているが、糖尿病のある妊婦にもこの推奨が当てはまるかどうかは結論に至っていない。

研究グループは今回、1日の消費エネルギーの70%を占め、妊娠後期になると最大で20%増加するREEと、REEとの相関が報告されている除脂肪量に着目。
2013年7月~2017年6月に、同大学病院で妊娠22週以降に単胎出産した妊婦144人を耐糖能異常の有無で分けて、妊娠前期および中期、後期、産後4~5週の時点に測定したREEと身体組成を比較検討した。

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対象とした妊婦のうち103人は耐糖能が正常で、41人が糖尿病患者であった(うち妊娠糖尿病が27人、妊娠中の明らかな糖尿病が3人、1型糖尿病が6人、2型糖尿病が5人)。

解析の結果、耐糖能が正常な妊婦では、REEは妊娠前期(1,461±215 kcal/日)と妊娠中期(1,491±219 kcal/日)、産後(1,419±254 kcal/日)と比べて妊娠後期(1,644±234 kcal/日)で有意に増加した。

一方で、糖尿病のある妊婦では妊娠前期~後期、産後にかけてREEに有意な変化はみられなかった(各REEは1,568±404 kcal/日、1,710±251 kcal/日、1,716±251 kcal/日、1,567±249 kcal/日)。

また、血糖コントロールが不良な妊婦と比べて、血糖コントロールが良好な妊婦では妊娠期間を通してREEは低値を示した。
さらに、糖尿病の有無にかかわらず、除脂肪量はREEと密接な相関関係を示した。

以上の結果から、研究グループは「糖尿病のある妊婦では、糖尿病治療により良好な血糖コントロールが得られたことで妊娠後期のREEの増加が抑えられた可能性がある。
除脂肪量はREEと強く相関することから、これらは糖尿病のある妊婦において栄養療法の指標となる可能性がある」と結論づけている。

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HealthDay News 2018年1月15日
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