より高強度な運動に高い健康効果 多目的コホート研究から


男性はより高強度な運動を行うほど死亡率は低下し、運動による健康効果が高まることも明らかにされた。
詳細は「Medicine & Science in Sports & Exercise」10月19日オンライン版に掲載された。
健康づくりのためには、国際的にも日常的な運動量を増やすことが推奨されており、世界保健機関(WHO)のガイドラインでは、18~64歳の成人は(1)ウォーキングなどの中強度運動を週150分以上、(2)ジョギングやサイクリングなどの高強度運動を週75分以上、(3)これらを組み合わせた同程度の身体活動-のいずれかを満たして運動を行うことが推奨されている。
研究グループは今回、JPHC研究に参加した一般住民を長期にわたり前向きに追跡したデータを用いて、中強度または高強度の身体活動量と死亡との関連を調べ、いずれの運動が健康に好影響をもたらすのかを調べた。

お近くの治験情報を全国から検索できます。
研究では、1990年および1993年に全国10地域に在住し、10年後(2000年および2003年)の調査時点でがんや心血管疾患の既往がなく、身体活動の制限がない50~79歳の住民8万3,454人を対象に2012年まで追跡した。
10年後の調査時に行った質問紙調査への回答から、対象者を(1)中強度運動が週150分未満または高強度運動が週75分未満群(対照群)、(2)中強度運動(週150分以上)のみを行う群、(3)中強度運動+高強度運動を少し行う群、(4)中強度運動+高強度運動をかなり行う群の4群に分けて、それぞれの死亡率を対照群と比較した。
なお、総身体活動量に占める高強度運動の割合が30%以内の場合を「高強度運動を少し行う」、その割合が30%を超えた場合を「高強度運動をかなり行う」と定義した。
その結果、男性では対照群と比べて中強度運動に加えて高強度運動を少し行った群では死亡率が22%、高強度運動をかなり行った群では26%それぞれ有意に低下していた。
また、中強度運動のみを行った群と比べて高強度運動もかなり行った群では死亡率は19%低下することも分かった。
また、女性では対照群と比べて中強度運動のみの群で死亡率は22%、高強度運動を少し行った群では34%、高強度運動をかなり行った群では36%それぞれ有意に低下していた。
さらに、調査開始後3年以内の死亡例を除外して疾患による身体活動制限の影響を除外した解析でも同様の結果が得られた。
以上の結果を踏まえて、研究グループは「WHOや厚生労働省が推奨する身体活動量(中強度運動を週150分以上、高強度運動を週75分以上)で健康へのベネフィットが得られることが明らかにされた。
特に男性ではガイドラインで推奨される以上の高強度運動を行うことが望ましい」と述べている。

治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。