今どきの中高生は「大人の経験」が遅い?


同氏らは「最近の若者は成長が遅れているのではないか」と指摘している。詳細は「ChildDevelopment」9月19日オンライン版に掲載された。
Twenge氏らは今回、1976~2016年に米国の13~19歳の男女約830万人を対象に実施された調査のデータを分析した。
その結果、2010年代の中高生では、1970年代~2000年代の中高生と比べ、飲酒やデート、セックス、アルバイト、自動車運転、親の同伴なしでの外出といった「大人の経験」をしたことがある者の割合が低いことが分かった。
また、こうした傾向は性別や人種、社会経済的状況、居住地域などに関係なく認められたという。
具体的には、12年生(日本の高校3年生)のアルバイト経験者の割合は、1990年代には72~73%だったのに対し、2010年代には55%に落ち込んでいた。
また、デート経験者の割合も、1990年代の81~84%から2010年代には63%に低下していた。
セックスの経験者の割合は、9年生(日本の中学3年生)では1990年代の38%から2010年代には29%に低下し、12年生では同じ期間に64~68%から62%に低下した。
さらに、飲酒の経験者の割合も、10年生(日本の高校1年生)では同じ期間に71~72%から51%に低下し、12年生では81%から67%に低下していた。
飲酒やセックスの経験がある中高生の減少は、歓迎すべきニュースともいえそうだが、今回の研究では、かつて大人になる上での重要な節目となっていたアルバイトや自動車運転の経験のない若者が増えていることも明らかになった。
Twenge氏は「中高生の成長のスピードが遅くなっているのが良いことなのか、悪いことなのかは、受け止め方次第だ」としているが、「(成長が遅いと)自立心を養う経験が全くないまま大学に進学し、就職することになる可能性がある」と指摘している。
一方、今回のTwenge氏らの報告を受け、米ニューヨーク大学ランゴン医療センター小児精神科のYamalisDiaz氏は「確かに最近の学生は、学業成績は優秀でも計画を立てたり、時間を管理したり、問題を解決するといった基本的なライフスキルに乏しい者が多い」とコメント。
その上で、「ティーンエージャーは急いで大人になるべきというわけではない。ただ、大人と同様の責任を負う経験や、同級生たちと付き合う時間が少ないと、大人になった時に十分な筋力がないまま重い物を持ち上げなくてはならないような日々を送ることになってしまう」と警鐘を鳴らしている。

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