日本人2型糖尿病患者の脂肪肝の判定に有用な指標とは? 未治療患者119人を対象に解析

未治療の日本人の2型糖尿病患者では、生体インピーダンス法を用いて評価した筋肉量と体脂肪量の比と血液検査のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)値は脂肪肝の判定に有用な指標となる可能性のあることが、陣内病院(熊本県)院長の陣内秀昭氏らの検討で分かった。

詳細は「Diabetes Research and Clinical Practice」2月12日オンライン版に掲載された。

2型糖尿病患者は肥満リスクが高く、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を発症するリスクも高いことが知られている。
NAFLDの中でも非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は肝硬変や肝がんに進行する可能性が高く、これらの早期発見と早期治療は重要な課題となっている。
陣内氏らは今回、未治療の2型糖尿病患者を対象に、生体インピーダンス法を用いた身体組成分析と血液検査を組み合わせることで肝臓の異所性脂肪の蓄積を評価できるとの仮説を立て、腹部CT画像で評価した肝臓と脾臓の脂肪量のCT値比(liver to spleen attenuation ratio;L/S比)との関連を調べる研究を行った。

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対象は、2014年6月~2017年10月に同病院を外来受診した未治療の2型糖尿病患者119人。
腹部CTスキャンによる体脂肪分布を測定し、L/S比を評価した。
なお、L/S比が1.0未満を示す場合に脂肪肝と判定した。

解析の結果、体重やBMI、ウエスト周囲長、総筋肉量、体脂肪量、体脂肪率といった身体計測および体組成の指標の中でも筋肉量と体脂肪量の比はL/S比と有意に関連し(P<0.0001)、肝臓の脂肪沈着を表す最適な変数であることが分かった。
多変量ロジスティック回帰分析の結果、筋肉量と体脂肪量の比(オッズ比0.40、95%信頼区間0.22~0.73、P<0.01)およびALT値(同1.06、1.02~1.10、P<0.01)は脂肪肝と独立して有意に関連した。
ROC解析で筋肉量と体脂肪量の比による脂肪肝の診断能を分析したところ、カットオフ値は2.34で、曲線下面積(AUC)は0.74(感度80%、特異度66%、P<0.001)であった。

以上の結果を踏まえて、陣内氏らは「2型糖尿病患者で合併頻度が高い脂肪肝は、インピーダンス法で評価した筋肉量と体脂肪量の比と血液検査のALT値といった臨床上で評価しやすい指標で判定できる可能性がある」と結論づけている。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2018年3月5日
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