HbA1c高値は慢性腎臓病のリスク因子 糖尿病がない日本人データを分析

糖尿病がない日本人の成人男女では、空腹時血糖(FPG)値よりもHbA1c値の上昇の方が慢性腎臓病(CKD)の予測因子として優れる可能性があることが、相澤病院(長野県)糖尿病センターの越智通氏らの研究グループの検討で分かった。詳細は「Diabetes Research and Clinical Practice」11月1日オンライン版に掲載された。

 これまでの研究で、前糖尿病はCKD発症のリスク因子であることが報告されている。前糖尿病はHbA1c値またはFPG値で定義されるが、HbA1c上昇およびFPG上昇が単独でCKDのリスク因子であるか否かは明らかになっていない。そこで、研究グループは今回、米国糖尿病学会(ADA)ガイドライン(FPG値100~125mg/dLおよび/またはHbA1c値5.7~6.4%)と世界保健機関(WHO)基準(FPG値110~125mg/dLおよび/またはHbA1c値6.0~6.4%)を用いて診断した前糖尿病とCKD発症の関連について検討した。

HbA1cに関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。

 対象は、2005~2016年に同病院で健診を受け、ベースライン時に糖尿病とCKDがなかった成人男女2万5,109人。対象者を平均で5.3年間追跡し、後ろ向きに解析した。

 観察期間中に対象者のうち2,483人がCKDを発症した。年齢や性、インスリン抵抗性、収縮期血圧などで調整して解析した結果、HbA1c高値はCKDの独立したリスク因子であったが、FPG高値にはこうした関連は認められないことが分かった。HbA1c値が1%上昇するごとにCKDリスクは1.91倍(調整後ハザード比、95%信頼区間1.70~2.16)に上昇したが、FPG値の上昇はCKDリスク上昇を全く伴っていなかった(同0.85、0.60~1.20)。

 また、ADA、WHOいずれの基準を用いても、前糖尿病の範疇に入っていることはCKD発症のリスク因子であることが明らかになった(調整後ハザード比はそれぞれ1.21、1.31)。さらに、どちらの基準でもFPG値によらずHbA1c値のみに基づき診断した前糖尿病はCKDのリスク因子であったが、逆にFPG値のみに基づく前糖尿病はCKDのリスク因子ではないことが示された。

 以上の結果から、研究グループは「糖尿病のない日本人集団では、FPG高値ではなく、HbA1c高値はCKDの独立したリスク因子であることが分かった。ただし、これらの因果関係は明らかになっておらず、今後さらなる検討が必要とされる」と述べ、HbA1c高値の前糖尿病と診断された人への介入はCKD予防につながる可能性があることから、今回の結果は今後のCKD対策にとって重要であるとしている。

治験に関する詳しい解説はこちら

治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

治験・臨床試験についての詳しい説明

参考情報:リンク先
HealthDay News 2018年11月26日
Copyright c 2018 HealthDay. All rights reserved.
SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
記載記事の無断転用は禁じます。