中年期のHDL-C高値で認知症リスク減 JPHC研究

中年期にHDL-コレステロール(HDL-C)値が高いと、後年に軽度認知障害(MCI)や認知症を発症するリスクは低い可能性があることが、国立がん研究センターなどの多目的コホート(JPHC)研究で示された。詳細は「Translational Psychiatry」1月18日オンライン版に掲載された。

 これまでの研究で、認知症の3分の1はリスク因子を修正することで発症を予防できると考えられている。また、中年期のHDL-C値はMCIや認知症を早期発見する予測因子として注目されているが、これらの関連は明らかになっていなかった。研究グループは今回、JPHC研究に参加した40~59歳の男女約1,100人を長期にわたり前向きに追跡したデータを用いて、これらの関連を検討した。

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 研究では、ベースラインとした1990年に長野県佐久地域に在住していた40~59歳の男女約1万2,000人のうち、1995~1996年の健診でHDL-Cを測定し、かつ2014~2015年に実施した「こころの検診」に参加した1,114人を対象とした。

 「こころの検診」時に、対象者のうち386人がMCI、53人が認知症と診断された。対象者をHDL-C値で4群に分け、喫煙や飲酒などのリスク因子で調整して解析した結果、MCIリスクは、HDL-C値が最も低い群を基準として最も高い群で53%低下したことが分かった(オッズ比0.47、95%信頼区間0.28~0.79)。また、症例数が少なかった認知症については、HDL-C値が最も低い群とそれ以外の3群をまとめた群で比較したところ、認知症リスクは、基準以外の群では63%低下したことが明らかになった(同0.37、0.16~0.88)。

 研究グループは、認知機能の改善に関与する遺伝子がHDL-C値の上昇と関連することや、HDL-C高値は認知機能の低下につながる脳梗塞の発症予防に有用とする報告があると指摘。その上で、「今回の研究から、中年期のHDL-C値は約20年後の認知機能と関連する可能性が示された。また、認知症リスクはHDL-C値が2番目に高い群でも低下していたことから、HDL-C値が低い人は、適度な運動や適量飲酒、禁煙などでHDL-C値を高めるような生活習慣に改善すると認知症予防につながる可能性が示された」と述べている。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2019年2月25日
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