腹部肥満で拡張不全型心不全患者の死亡リスク上昇 国立国際医療研究センター

左室駆出率が保たれた心不全(拡張不全型心不全、HFpEF)患者は、腹部肥満を併存すると死亡リスクが高まる可能性があることが、国立国際医療研究センター(東京都)糖尿病内分泌代謝科の辻本哲郎氏らの検討で分かった。

詳細は「Journal of the American College of Cardiology」12月号に掲載された。

HFpEF患者はしばしば高血圧、糖尿病、心房細動を併存することが知られているが、腹部肥満による生命予後への影響を調べた研究はほとんどない。
辻本氏らは今回、HFpEF患者を対象に、腹部肥満と死亡との関連を調べる研究を行った。

研究では、HFpEF患者に対するアルドステロン拮抗薬の有効性を検討した国際多施設共同のランダム化比較試験、TOPCAT(Treatment of Preserved Cardiac Function Heart Failure with an Aldosterone Antagonist)試験に参加した3,445人の患者のうち、この研究の基準を満たした3,310人が対象となった。
対象患者は腹部肥満のある群(2,413人)と腹部肥満のない群(897人)に分けられ、死亡リスクについて比較検討された。

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平均3.4年間の追跡期間中に500人の死亡が確認された。
解析の結果、1,000人年当たりの死亡率は、腹部肥満のある群で46.1、腹部肥満のない群で40.7であった。
多変量解析の結果、腹部肥満のない群と比べて、腹部肥満のある群で全死亡リスクは有意に高かった(調整後ハザード比1.52、95%信頼区間1.16~1.99、P=0.002)。

また、腹部肥満のない群と比べて、腹部肥満のある群では心血管死や非心血管死のリスクもそれぞれ有意に高いことが認められた(それぞれの調整後ハザード比1.50、1.08~2.08、P=0.01および1.58、1.00~2.51、P=0.04)。

以上の結果を踏まえて、辻本氏らは「腹部肥満を伴うHFpEF患者は、腹部肥満のない患者と比べ死亡リスクが高い可能性がある。
HFpEF患者の生命予後を改善するには内臓脂肪に注目した体重管理が重要かもしれない」と結論づけている。

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HealthDay News 2017年12月4日
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