大腿骨近位部骨折で2型糖尿病患者の全死亡リスク増 日本人患者の大規模コホート研究を解析

日本人の2型糖尿病患者は、大腿骨近位部骨折があると全死亡リスクが高まる可能性があることが、九州大学大学院病態機能内科学教授の北園孝成氏と白十字病院(福岡県)副院長・糖尿病センター長の岩瀬正典氏らの研究グループの検討で分かった。これらの関連は、肥満度を表す体格指数(BMI)や喫煙習慣などの因子のほか、心血管疾患(CVD)や末期腎不全(ESRD)の併存とは関係なく認められたという。研究の詳細は「Journal of Diabetes Investigation」5月12日オンライン版に掲載された。

 2型糖尿病患者は、大腿骨近位部骨折を来たしやすいとされる。また、大腿骨近位部骨折を含む脆弱性骨折は死亡率を高めることが報告されている。しかし、2型糖尿病患者における大腿骨近位部骨折と死亡リスクとの関連については、あまり検討されていない。そこで、研究グループは今回、大規模な前向き疫学調査である福岡県糖尿病患者データベース研究(Fukuoka Diabetes Registry;FDR)のデータを用いて、大腿骨近位部骨折、上肢骨折、心血管疾患(CVD)および末期腎不全(ESRD)と全死亡との関連を調べた。

2型糖尿病に関する治験・臨床試験(新しい治療薬)情報はこちら
郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。

 研究では、4,923人の2型糖尿病患者(平均年齢65歳、うち男性2,790人)を対象に、中央値で5.3年間追跡した。追跡期間中に110人が大腿骨近位部骨折を、801人は上肢骨折を来し、1,344人はCVDを、104人はESRDを発症した。

 追跡期間中に309人が死亡した。解析の結果、大腿骨近位部骨折のある患者では、そうでない患者に比べて全死亡リスクが有意に高かった(多変量調整オッズ比2.67、95%信頼区間1.54~4.41)。一方、上肢骨折と全死亡リスクとの間に有意な関連は認められなかった。

 また、CVDやESRDを併存した患者では、これらの疾患がない患者に比べて全死亡リスクは有意に高いことも分かった〔多変量調整オッズ比(95%信頼区間)はそれぞれ1.78(1.39~2.70)、2.36(1.32~4.05)〕。さらに、CVDおよびESRDで調整した解析でも、大腿骨近位部骨折と全死亡との関連は有意であり続けた(同2.74、1.58~4.54)。なお、大腿骨近位部骨折患者の死因は感染症(40.9%)と悪性腫瘍(25.0%)、CVD(15.0%)であった。

 これらの結果を踏まえ、岩瀬氏らは「2型糖尿病患者では、CVDやESRDと独立して、大腿骨近位部骨折は全死亡リスクの上昇と関連する可能性がある。今回の結果から、高齢の糖尿病患者において、大腿骨近位部骨折は生命予後に関わる非常に重要なイベントだといえる」と述べている。一方、「大腿骨近位部骨折の予防が2型糖尿病患者の生存率向上につながるか否かについては、今後の研究結果が待たれる」と同氏らは付け加えている。

糖尿病のセルフチェックに関する詳しい解説はこちら

糖尿病でいちばん恐ろしいのが、全身に現れる様々な合併症。深刻化を食い止め、合併症を発症しないためには、早期発見・早期治療がカギとなります。今回は糖尿病が疑われる症状から、その危険性を簡単にセルフチェックする方法をご紹介します。

糖尿病のセルフチェックに関連する基本情報

参考情報:リンク先
HealthDay News 2019年6月10日
Copyright c 2019 HealthDay. All rights reserved.
SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。
記載記事の無断転用は禁じます。