血糖値や脂質値の変動に腸内細菌が強く関与 熊本大グループ

腸内細菌の働きで産生される代謝産物の「二次胆汁酸」が糖代謝や脂質代謝に関与するメカニズムを解明したと、熊本大学大学院微生物薬学分野教授の大槻純男氏らの研究グループが「Scientific Reports」1月19日オンライン版に発表した。

抗生物質の服用で腸内細菌叢のバランスが崩れると二次胆汁酸を産生する腸内細菌と二次胆汁酸が大きく減少し、血糖や脂質の値の低下が引き起こされることがマウスを用いた実験で分かった。
二次胆汁酸を産生する腸内細菌を標的とした糖尿病や脂質異常症の新しい治療の開発につながる可能性があるという。

腸内細菌叢の変化は宿主であるヒトの健康に大きな影響を及ぼすことは広く知られている。
研究グループはプレスリリースの中で腸内細菌叢に大きな変化をもたらす要因の一つとして抗生物質の使用を挙げ、抗生物質の使用により腸内細菌叢を構成する細菌のバランスが破綻する「dysbiosis」と呼ばれる状態が引き起こされると指摘している。

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これまで複数の研究で抗生物質の使用による腸内細菌叢のバランスの破綻は、肝臓の蛋白質の発現量に影響を与えることが報告されている。
肝臓は糖代謝や脂質代謝を担う重要な臓器であることから、研究グループは今回、こうした腸内細菌叢のバランスの破綻が糖代謝や脂質代謝に及ぼす影響を調べるマウスを用いた実験を行った。

まず、抗生物質を5日間投与してdysbiosisモデルマウスを作製し、血糖値と中性脂肪(トリグリセライド;TG)値を調べたところ、抗生物質を投与していない対照マウスと比べてdysbiosisモデルマウスでは血糖値が64%、TG値が43%低下することが分かった。

研究グループは次に、腸内細菌が産生する代謝物「二次胆汁酸」に着目して解析したところ、dysbiosisモデルマウスでは二次胆汁酸を産生する腸内細菌の数と肝臓における二次胆汁酸の濃度が対照マウスと比べて低下していることが分かった。
dysbiosisモデルマウスに抗生物質と同時に二次胆汁酸を補充すると血糖値とTG値が回復することも見出した。

さらに、蛋白質の発現量を網羅的に解析する定量プロテオミクスの手法を用いて、二重胆汁酸がどのように肝臓の糖代謝や脂質代謝に影響しているのかを分析したところ、dysbiosisモデルマウスの肝臓ではグリコーゲン代謝とコレステロールや胆汁酸の生合成に関わる蛋白質の発現量に変化がみられた。
二次胆汁酸を補充するとこうした蛋白質の発現量は正常に回復したという。

これらの結果を踏まえて、研究グループは「腸内細菌が産生する二次胆汁酸は糖代謝や脂質代謝に影響を及ぼしている可能性がある。
二次胆汁酸を産生する腸内細菌が糖尿病や脂質異常症などの新しい治療標的となることが期待される」と述べている。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2018年2月19日
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