体外受精による新生児はテロメアが短い――島根大

 体外受精などの生殖補助医療による妊娠で生まれた新生児は、テロメア長が短いというデータが報告された。島根大学医学部産科婦人科の中山健太郎氏らの研究であり、詳細は「International Journal of Molecular Sciences」に12月18日掲載された。

 テロメアは染色体の末端にあるDNAとタンパク質からなる構造で、染色体の安定性を維持していると考えられている。細胞分裂の回数に応じてテロメアが短くなることから、テロメアの長さは老化のマーカーとされ、テロメア長が寿命と相関することが知られている。

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 一方、生活習慣病のリスクの一部は、母体の胎内環境に左右されることを示唆する研究報告が増えている。しかし、胎児のテロメア長に影響を与える因子は明らかになっていない。そこで中山氏らは、578組の母児を対象として、新生児のテロメア長と母体の臨床背景との関連を検討した。

 新生児のテロメア長は、臍帯血検体を用いた定量PCR検査により、テロメアのDNAの繰り返し配列のコピー数と単一遺伝子のコピー数の比である「T/S比」という指標で評価した。このT/S比と、以下の11項目との関連を検討した。母体年齢、BMI、妊娠糖尿病、妊娠中のストレス・喫煙・飲酒、早産、胎盤重量、低出生体重児、新生児の性別、および、生殖補助医療技術(Assisted Reproductive Technology;ART)の利用。

 母親の年齢は17~46歳で平均31.6±5.0歳。妊娠12週時点のBMIは21.3±3.9で、17%が低体重、13%は肥満であり、7.3%が妊娠糖尿病だった。妊娠中の喫煙は6.1%、飲酒は6.6%に見られ、31%は高ストレス状態と判定された。ARTによる妊娠は10%(58人)であり、そのうち28人には従来から使われている技術による体外受精、30人には卵細胞質内精子注入法という比較的新しい技術が用いられていた。

 一方、新生児は男児が52%、出生時体重は2,962±373.7gで、在胎期間は38.6±1.6週であり、早産が6.6%、低出生体重児が7.1%を占め、32.4%は胎盤重量が500g未満だった。テロメア長を表すT/S比は、中央値1.0(四分位範囲0.7~1.5)だった。

 ARTによる妊娠で生まれた新生児のT/S比は0.80、自然妊娠による新生児は1.04であり、有意な群間差が認められた(P=0.003)。また母体が肥満の場合、新生児のテロメア長が短くなる傾向が見られたが、群間差は有意でなかった(BMI25未満のT/S比1.03、BMI25以上では0.88。P=0.057)。

 T/S比との関連を検討したその他の項目(年齢、妊娠糖尿病、妊娠中の喫煙や飲酒、早産、新生児の性別などの前記の因子)は、全てT/S比との関連が認められなかった。多変量解析の結果も、T/S比と有意に相関する因子として抽出されたのはARTのみだった。なお、ARTにより妊娠した妊婦の平均年齢は34.9歳で、自然妊娠による妊婦の31.3歳よりも高齢だったが、この年齢差はT/S比に影響を及ぼしていなかった。また、ARTの手法の違いによる差異も認められなかった。

 以上より著者らは、「ARTによる妊娠は、新生児のテロメア長の短縮と関連している。テロメア長の短縮は成人後の生活習慣病発症リスクに影響を及ぼす可能性があり、ARTによる妊娠は今後も世界的に増加していくと予想されることから、この領域のさらなる研究が急がれる」と述べている。

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HealthDay News 2021年2月8日
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