若年成人のメタボリック症候群の発症率を男女別に調査 獨協医大グループ

日本人の若年成人におけるメタボリックシンドローム(MS)の発症率は、40歳代の中年期に比べて低いが、相当な割合を占めていたとする研究結果を、獨協医科大学公衆衛生学准教授の春山康夫氏らが「Journal of Epidemiology」5月11日オンライン版(先行公開)に発表した。一方、若年期でも、加齢に加えて不健康な生活習慣はMSのリスク因子であることも分かった。同氏らは「中年期だけでなく若年期のうちから生活習慣への早期介入を行うことがMS予防に肝要だ」と述べている。
これまで20歳代から30歳代の若年成人を対象に、日本の診断基準(「内臓脂肪の蓄積」に加えて、「血圧」、「血糖」、「脂質」のうち2項目以上が当てはまる場合)によるMSの発症率を検討した大規模研究はほとんど行われていなかった。春山氏らの研究グループは、2008年に開始された特定健診の対象とされていない若年層ではMSの新規発症例が増加しているのではとの仮説を立て、40歳未満の男女を対象に前向きコホート研究を実施した。

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対象は、鶯谷健診センター(東京都)で2010年に健康診断を受けた20~49歳の勤労者5万8,901人。研究では、女性1万7,665人(平均年齢は37.3歳)と男性4万1,236人(同37.4歳)に分けた上で、20歳代、30歳代、40歳代別のMS新規発症率を比較検討した。
6年間の追跡期間中に7,828人(女性496人、男性7,332人)が新たにMSを発症した。女性における1,000人年当たりのMS発症率は、20歳代では2.2、30歳代では5.5、40歳代では10.2であった。生活習慣因子を調整後の解析で、MS発症ハザード比は、40歳代と比べて20歳代では81%、30歳代では50%低いことが分かった。
一方、男性における1,000人年当たりのMS発症率は、それぞれ26.3、40.5、57.4であり、そのハザード比は40歳代と比べて20歳代では54%、30歳代では30%低かった。また、ベースライン時にMSを構成する因子(高血圧、高血糖、脂質異常症)が一つもみられない健康な若年男女では、MSの発症率はさらに低かったという。
さらに、MSの発症には、加齢に加えて不健康な生活習慣も関連することが示された。MSのリスク因子として、女性では20歳代および30歳代の喫煙習慣、30歳代の食べる速度が、男性では20歳代および30歳代の身体活動と食べる速度、飲酒、30歳代の喫煙習慣が挙げられた。
春山氏らによれば、これまでの先行研究で若年期のMS発症は、中年期と同様に全死亡率の増加と関連することが報告されているという。今回の結果を受け、同氏らは「日本人の男女では、20歳代から30歳代のMSの発症率は低かった。しかし、女性では40歳代のMS発症の20~50%を、男性では50~70%を占めると考えられたことから、若年期のうちからMS予防を目指した生活習慣への早期介入が重要になるだろう」と結論づけている。

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