プロバイオティクスのサプリ、保育園児の感染予防には効果なし?

1歳前後の保育園児にプロバイオティクスのサプリメントを使用しても、風邪や感染性胃腸炎といった感染症を予防する効果は認められなかったとする研究結果が「Pediatrics」7月3日オンライン版に掲載された。

 この研究は、コペンハーゲン大学(デンマーク)栄養・運動・スポーツ学のRikke Pilmann Laursen氏らが実施したもの。同国の保育園に通う健康な生後8~14カ月の子ども290人を対象として、そのうち144人を6カ月間にわたって1日1回パウダー状のプロバイオティクスを食事や飲み物に混ぜて摂取してもらう群(プロバイオティクス群)に、146人をプラセボを混ぜて摂取してもらう群(プラセボ群)にランダムに割り付けた。

 その結果、保育園を休んだ日数や風邪の症状、下痢、発熱、嘔吐などの発生頻度がプロバイオティクス群で減少することはなく、プロバイオティクス群とプラセボ群との間に差は認められなかった。また、プロバイオティクス使用による副作用の報告もなかった。

 これまでに報告されている研究では、プロバイオティクスによる感染性胃腸炎の予防効果が示されているにもかかわらず、今回は同様の結果が得られなかった。この点について、同研究の論文に関する論評の著者の1人である米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)小児科学のMichael Cabana氏は、「今回の研究の対象となった子どものほぼ半数で研究期間中も母乳育児が続けられており、全般的に健康状態が良好であったため、プロバイオティクスによる効果が現れにくかったのではないか」と考察。母乳に含まれるヒトミルクオリゴ糖は乳児の消化管に固有の細菌の成長を促進するため、母乳は腸内細菌の健康的なバランスを保つ最良の方法かもしれないとしている。

 また、今回の研究ではプロバイオティクスの副作用は認められず、安全であることは示されたが、同氏は「プロバイオティクスにはさまざまな製品があるため、もし試したいなら、まずは小児科医に相談し、適切な菌株を含み厳格な臨床試験で評価された製品を選ぶとよい」と助言している。

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HealthDay News 2017年7月3日
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