虫から感染する?衛生害虫感染症とは

クモによる感染症について

蚊、ダニ、ノミ、ゴキブリなどの虫が感染症を媒介していることがあります。 ひとくくりに害虫と呼んでいますが、この記事ではクモを例にとって解説します。
  1. 1.はじめに
  2. 2.衛生害虫ってなに?セアカゴケグモとは
  3. 3.クモによる感染症の症状
  4. 4.クモによる感染症の感染経路
  5. 5.クモによる感染症の予防と治療
  6. 6.まとめ

はじめに

衛生害虫とは、一言で『ヒトの健康に悪影響を与える虫』のことを指しています。
一昔前にセアカコケグモという種類のクモが話題になりました。
セアカコケグモの病原性は、ウイルスや寄生虫の媒介をすることと、毒素です。

同じゴケグモ属のジュウサンボシゴケグモ、ハイイロゴケグモ、クロゴケグモと併せて特定外来生物の第1次指定を受けています。
発見時には駆除が必要です。
踏みつぶす、熱湯をかける、家庭用殺虫剤をかけるなどの対策をとりましょう。

重症化することは少ないですが、発汗や発熱といった全身症状が見られる時は、早急に医療機関で診察を受ける必要があります。

近年、同属のクロゴケグモに感染するクロゴケグモウイルスの遺伝子にクロゴケグモの毒素遺伝子が伝搬していることが報告されています。

クモの体の中に細菌があり、その細菌にウイルスが寄生しています。
※クロゴケグモウイルスはクロゴケグモの体内に共生するボルバキアという細菌に寄生しています。

また、ボルバキアはデング熱の原因となるデングウイルスのホスト(宿主)でもあります。
近年では、ボルバキア菌体内でウイルスの病原性を減弱させる試みにも期待されます。
もう少し詳しく説明していきます。

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衛生害虫ってなに?セアカゴケグモとは

衛生害虫とは人や家畜に対して、悪影響を与える昆虫やダニ類のことです。
クモが引き起こす問題は主に2つです。

  • 病原体(ウイルスや寄生虫)の媒介として持っていること。
  • 毒素を持っていること。

以上が、衛生害虫感染症の成立に大きく影響しています。

クモの中でもゴケグモ属のセアカゴケグモは、オーストラリアで古くから毒グモとして知られています。日本においては1995年11月大阪府で初めて発見されました。

その後、2005年8月群馬県で関東地方では初めての生息が確認され、2008年4月には岡山県倉敷市で、5月に愛知県、6月に大阪府、8月に鹿児島県でと、連続で発見されます。
そして2009年には、四国の北部での発見が報告されています。

セアカゴケグモの拡散には交通手段の発達が関与していると考えられます。
またセアカゴケグモは、車の裏側やタイヤの隙間など日陰を好むことがわかっています。
長距離の移動後や湾港、大規模な駐車場を有するSAなどを利用した後には注意が必要です。

また、家庭では庭やサンダル、長靴での発見が報告されており、使用前のセアカゴケグモがついていないかの確認も非常に重要です。

セアカゴケグモは0~46℃で生息することが可能です。
このため、日本でも冬を越せるため繁殖を繰り返しています。
また、同じゴケグモ属のジュウサンボシゴケグモ、ハイイロゴケグモ、クロゴケグモと併せて特定外来生物の第1次指定を受けています。
生息地が全国に広がりつつあるので注意が必要です。

クモによる感染症の症状

ヒトに対して毒性を有するのは、セアカゴケグモの雌です。

雌に噛まれたところは、激しい痛みと腫れを生じて、重症例では発汗や発熱などの全身症状を伴うこともあります。
重症化することは少ないですが、全身症状が現れた時は早急に医療機関で診察を受ける必要があります。
痛みはセアカゴケグモに咬まれてから5~60分で出現します。
その後、痛みの強さと範囲が広がることがあるので注意が必要です。

また指や腕を噛まれた場合は胸部痛が出現することがあります。
足を噛まれた場合には腹部が激しく痛む場合があることも分かっています。

ここで噛まれた傷が重症化しないのか?というのが気になるところです。

幼児、高齢者、虚弱者は特に注意が必要です。

上記のような人の周囲に、セアカゴケグモの存在が疑われる環境においては意識的にチェックすることが必要です。

クモによる感染症の感染経路

セアカゴケグモを含みゴケグモ属は、基本的には臆病です。
ヒトと遭遇しただけでは積極的に攻撃することはありません。

しかし、クモの体や巣に触れられると防御反応として噛むことがわかっています。
セアカゴケグモの病原性は、雌(メス)のみが有する神経毒であるα―ラトロキシンです。
成体の雌(メス)の体長は10mm前後で雄(オス)の約2倍の大きさです。
体型は丸く黒色をしているのが特徴です。

雌(メス)は孵化から成体になるまで約100日を有します。
寿命は2-3年と考えられており、1匹の生涯産卵数は5,000個にも至ることがわかっています。

日本においては雌(メス)を選択的に駆除することが合理的だと考えられますが、護身が優先であり、背面に2つの縦列したひし形と腹面に砂時計状の赤い模様を有するセアカゴケグモと遭遇した時は、瞬殺することが望まれます。

セアカコケグモ自体にはピレスロイド系の殺虫剤が有効で、卵は潰すか焼却する必要があります。
※ピレスロイド系とは、昆虫類などに対して非常に強い効果を示す『神経毒』として知られています。

まずは噛まれないようにすぐに対策しましょう。
その後に、可能であれば駆除して周りにもいないか確認するようにしてください。

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クモによる感染症の予防と治療

セアカコケグモを見つけたら踏みつぶす、熱湯をかける、家庭用殺虫剤をかけることいった駆除を優先します。
万一、咬まれてしまった場合の治療に最も有効なのは抗セアカコケグモ毒素血清です。

抗毒素はセアカコケグモに咬まれてから10日以内であれば有効で、投薬から1時間以内に治療効果が現れます。
日本では抗毒素が薬事承認されていないので、医師が個人輸入した抗毒素が処方されています。
医療機関での治療が始まるまでは患部を冷やし、圧迫しないことが痛みを緩和します。

また抗毒素治療は、全ての咬傷者に必ずしも必要な処置ではありません。

軽度の局所症状は鎮痛剤を用いた対症療法となります。

まとめ

いかがだったでしょうか?
クモは身近に存在する虫ですが、種類によっては体内にウイルスや寄生虫を持っていることがあります。
また、毒そのものを持っている種類もあることを知っておきましょう。
子供が興味本位で触ってしまう場合もあり、虫に噛み付かれて感染するなんてこともあるので注意が必要です。

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