不妊治療ってどうなの?不妊治療の内容、料金、成功率、注意点について説明します。

不妊治療という言葉は聞いたことがあっても、その治療内容、費用、効果まではあまり知らないという方もいるのではないでしょうか?しかも、不妊症は病気ではなく症候群のため、原因も何も関係なしに理由は分からないのです。不妊治療は努力してもできないという方にとって良い手段になる可能性もあります。今回はそんな不妊治療の概要について説明します。
  1. 1. はじめに
  2. 2. 不妊治療とは
  3. 3. 不妊治療の検査の内容、タイミング
  4. 4. 不妊治療の内容・料金、成功率
  5. 5. 不妊治療を行うときの注意点
  6. 6. まとめ

はじめに

不妊治療という言葉は聞いたことがあっても、その治療内容、費用、効果などの実態まで詳しく把握している方は意外に少ないのではないでしょうか。

晩婚化に伴い、現在は実に新生児約21人に一人が体外受精によって生まれているのです。

赤ちゃんがほしいと思ったときに自然に授かれることがベストですが、不妊治療という手段をよく知っておくことが自分やパートナー、生まれてくる赤ちゃんにとっても良いことであったりします。

今回はそんな不妊治療の概要について説明します。

不妊治療とは

不妊の定義
そもそも不妊症とは、避妊なく性交渉をしても1年間妊娠しないものを言います。
(以前は2年間とされていましたが、近年では1年間とされています。)

不妊症のカップルは10組に1組いると言われていますが、近年の晩婚化、あるいは妊娠を希望する年齢が上昇していることもあり、その割合はもっと増えているとされています。

不妊治療
不妊治療は妊娠しにくい原因を調べて治療することと、妊娠の可能性を高める治療とで構成されます。不妊の検査をしながら、いくつかの治療法を試し、段階的に治療法をアップしていきます。

不妊治療はタイミング法などの一般的不妊治療と体外受精などの特定不妊治療に分類されます。
詳細については後述しますが、特定不妊治療の方が料金は高額になります。

治療開始から妊娠成立までには平均で2年から3年程度かかるとされています。

不妊治療の検査の内容、タイミング

検査は婦人科で行います。

各種検査
次に述べるような検査(ここに紹介するのは一部であり、この他にも検査はあります)を行い、不妊の原因が男性にあるのか、女性にあるのかを調べ、今後の治療方針を決定します。

原因は男性にある場合と女性にある場合が半々とされています。
また、詳細な検査を行っても原因が特定できない場合(全体の1割程度)もあります。

検査には健康保険が適応(一部保険適応外の場合もあるため注意が必要)され、自己負担は数千円から1万円程度となっています。

すべての検査を行うわけではなく、検査・治療を受ける人の年齢や治療方針等によって内容は大きく変わってきます。
 
問診、カウンセリング
性交渉の頻度、避妊を解除してからの期間、人工妊娠中絶や流産の有無・回数など一般的な内科よりもプライベートに踏み込んだ問診内容となります。

基礎体温
女性の基礎体温は卵巣の働きを知る重要な情報となるため、初診時に2、3ヶ月程度の基礎体温表を持って受診すると良いでしょう。
基礎体温は婦人体温計(舌下で測定するもので、一般的な体温計よりも体温を細かく測定できるようになっている)を用いて、起床後すぐ寝たままで測定します。排卵の有無や黄体機能を見ます。

経膣超音波検査
細い棒状の機械を膣内に挿入して、子宮筋腫、子宮腺筋症、卵巣嚢腫(のうしゅ)などがないか診断します。その他にも子宮内膜の厚さ、卵胞の発育程度などを見ます。

子宮頚管(けいかん)粘液検査
子宮粘液とは子宮頚部から分泌される粘液で、月経周期によって量や粘稠度などの性質が変化します。排卵時期に採取することで、排卵時期を推測することや、卵巣の機能を見ることができます。

子宮卵管造影検査
子宮口からカテーテルを入れ、造影剤を注入してレントゲン撮影をします。子宮腔の形状、卵管の狭窄の有無などが分かります。
また造影剤を注入することで、軽度であれば卵管の癒着を防げる効果もあるため、妊娠しやすい状態を作ることができます。

フーナーテスト 
排卵前後に性交してもらい、その後子宮口入り口や子宮頸管内の粘液を採取します。
頸管内の精子の数や動きを観察します。
必要に応じて複数回検査を行い、この検査の結果精子に問題があるとされた場合は、抗精子抗体検査(この抗体が多いと精子を外敵とみなして攻撃・排除してしまう)といって血液を採取して詳しく調べます。

通気検査
子宮から卵管に炭酸ガスを通して、その圧力で卵管の通過性を予想します。
子宮卵管造影検査と同様に、検査によって卵管の軽度の癒着を改善し、妊娠しやすい状態を作ることができます。

ホルモン検査
血液検査を行い、血液中のホルモン濃度を調べます。
女性側の卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体化ホルモン(LH)、エストロゲン、プロゲステロン、プロラクチン、甲状腺ホルモン、男性側のテストステロンを調べます。
また、LHは尿から採取することもあります。

クラミジア検査
血液検査(抗体価を調べる)と子宮頚部の細胞を綿棒で採取する検査があります。
クラミジアは卵管周辺に癒着を起こし、卵管を閉塞させるため不妊症の原因となります。

精液検査
2日から5日間ほど禁欲後射精してもらい、精液を採取します。
精液の量、1mlあたりの精子の数、運動率、奇形率を見ます。

不妊治療を開始するタイミング
避妊を解除してからの期間が1年以上
冒頭でも述べたように避妊せず性交渉を行っていても1年間妊娠に至らない場合は、不妊治療を開始する一つの目安になるでしょう。

女性の年齢が35歳以上
女性の年齢は35歳を超えた頃から自然妊娠をする確立が急激に低下していきますので、女性の年齢というのもポイントです。
35歳以上の夫婦が毎月排卵日付近に性交渉をしても6ヶ月以上妊娠に至らない場合は、検査・治療を考える目安となります。

婦人科系、泌尿器科系の持病・問題がある人
女性であれば生理不順な人、毎月生活に支障をきたす程の月経痛や経血量の多い人(子宮内膜症や子宮筋腫など婦人科疾患が原因となっていることがあります)、過去に婦人科疾患で手術の既往がある人などが当てはまります。
男性であれば勃起障害のある人、精巣炎などの既往がある人が当てはまります。
これらが即不妊症になるということではなく、原因(リスク)の一つとなり得ます。
検査をスムーズに進めたり、治療の成功率を少しでも高めるために自分たちがまずリスク知っておくことが大切です。

不妊症の治験・臨床試験(新しい治療薬)情報をsmtで検索

郵便番号を入力すると、お近くの治験情報を全国から検索できます。

不妊治療の内容・料金、成功率

一般不妊治療
一般不妊治療とは、特定不妊治療とは異なり、女性の体内から卵子を体外に取り出すことなく、妊娠を成立させるための様々な治療法(タイミング法、排卵誘発法、人工授精など)を言います。

人工授精は保険適応外となる点に注意が必要です。

タイミング法
一般不妊治療で最もスタンダードな治療法です。
排卵時期(排卵の2日前頃が最も妊娠しやすいと言われています)に合わせて性交を行うものです。
排卵日を尿検査や超音波検査などで確認することによって、妊娠の可能性を高めます。費用は数千円から数万円です。

一般的不妊治療を2年ほど試みても妊娠に至らない場合は、次の特定不妊治療のステップに進みます。
期間はあくまでも目安であり、女性の年齢によっては、より早い段階で特定不妊治療に移行することもあります。

排卵誘発法
タイミング法で妊娠に至らない場合は、ホルモン剤(内服薬や注射)で排卵を促します。
排卵障害がある場合、黄体機能不全によって子宮の内膜に受精卵が着床しない場合に行います。
この方法を排卵誘発法と言い、1回当たりの費用は数千円から数万円です。

人工授精(AIH)
タイミング法や排卵誘発法で妊娠しなかった場合に行います。
人工授精とは良好な精子を取り出して、排卵時期に注射器などで子宮内に直接注入する方法です。
原因不明の不妊症や男性の精子に問題がある場合に有効とされています。
1回当たりの費用は約2万円(保険適応外)です。

特定不妊治療(高度生殖医療:ART)
特定不妊治療とは、卵子を体内から取り出して体外で精子と受精させ、受精卵が8分割程度になるまで培養してから再び子宮に戻す治療です。
より専門技術を必要とすると、保険適応外なため一般不妊治療より費用は高額になります。
特定不妊治療は公的助成制度の対象となります。
しかし、助成を受けるにはいくつかの条件をクリアしなければなりません。

  • 夫婦の年収の合計が730万円以下であること
  • 法律上婚姻関係にあること
  • 特定不妊治療を行わなければ妊娠が難しいと医師が診断していること
  • 女性の年齢が42歳以下であることです。

また、1回の最大助成額は15万円まで、通算5年間で10回までという回数・額の上限が設けられました(年齢は39歳以下であれば6回まで助成対象となり、40歳以上は初年度3回、次年度からは2回となります。)
こういった年齢や助成回数・額に制限が設けられた背景には、不妊治療を受ける人の急増によって、自治体の助成額が増えてしまったということがあるのです。

体外受精
体外受精とは、卵巣から卵子を取り出し(採卵)、子宮内に受精卵(胚)を戻す過程(胚移植)において、体外で精子を卵子にふりかけるなどして受精させる方法を言います。
受精した胚細胞のうち、良好なものを選んで子宮内に注入します。
1回当たりの費用は約30万円です。
採卵という作業が独特の痛みを伴うことが多いようです。

顕微授精
顕微授精とは胚移植の過程において、精子を卵子の中に針で注入して受精させる方法を言います。
精子に問題があり、体外受精でも妊娠に至らなかった場合に行います。
1回当たりの費用は約40万円です。

手術
検査を行った結果、女性に卵管癒着や子宮内膜症などの婦人科疾患がある場合、必要があれば卵管癒着剥離(ゆちゃくはくり)術、卵管形成術、腹腔鏡下子宮内膜症病巣除去術などの手術を行います。

不妊治療の成功率

一般不妊治療の成功率
タイミング法による妊娠確率は1回目で37%、5回目までで90%とされています。
逆に6回目以降は確率が低下するため、ここが次の段階に進むポイントになります。
1回の人工授精で妊娠する確率は7%から10%程度とされています。
これに排卵誘発剤を併用すると10%から15%程度に上がるというデータがあります。
どの治療法においても女性、男性の年齢は若い方が妊娠確率は高くなります。

特定不妊治療の成功率
日本産婦人科学会によると、2014年の特定不妊治療による妊娠率は16.9%となっています。
妊娠率は女性の年齢が上がるにつれて低下していき、30歳の女性であれば28%ですが、40歳で15%、44歳では5%となります。
特に36歳を過ぎた頃から妊娠率が急激に低下していきます。
逆に流産率は年齢が上がるにつれて高くなります。

不妊治療を行うときの注意点

産婦人科ですべての不妊治療を受けられるわけではない
これまで説明したように不妊治療は段階が進むほど高額になるため、自治体の公的助成制度を受けることができます。
しかし、各都道府県が指定した医療機関で特定不妊治療を受けなければ、助成の対象にはなりません。
具体的な医療機関名は各都道府県、指定都市、中核市のホームページなどに掲載されている特定不妊治療費助成事業の指定医療機関を参照してください。

妊娠までには時間もお金もかかる
公的助成制度があるとは言え、まだまだ個人にかかる負担は相当なもとだと言われています。
(治療費は数百万円とも言われます。)
そこで特に費用のかかる特定不妊治療をサポートする民間の医療保険も発売されています。
不妊治療中だけでなく、これから妊娠を考えている女性は知識として得ておくと良いでしょう。
一度の不妊治療で妊娠に至ることは珍しく、検査や治療は段階を踏みながら行っていくため、平均で2、3年ときには5年以上を要します。

不妊治療イコール妊娠ではない
最も注意しなければならないのが、時間もお金もかかり、検査や治療項目によっては女性の体に負担のかかるものもあるのに、すべての女性が妊娠・出産に至るわけではないということでしょう。
先に述べたように、特定不妊治療による妊娠率は約17%です。
不妊治療は決して甘いものではないということを肝に銘じて治療に望む必要があります。
また、こういった状況を踏まえつつ、10代、20代の若い頃から結婚や出産時期、子どもの数などのライフプランを漠然とでも持っておくことが大切です。

まとめ

いかがだったでしょうか?

不妊治療と言っても、様々な角度から考える必要があるとわかっていただけたと思います。
一番重要なのは夫婦間のコミュニケーションが何よりも大事だと言う場合も多いです。
話し合いながら納得して治療できる環境を整えていくのが良いでしょう。

治験に関する詳しい解説はこちら

治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。

治験・臨床試験についての詳しい説明

SMTによる記事情報は、治療の正確性や安全性を保証するものではありません。
病気や症状の説明について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください。