体外受精と人工授精!方法、費用、受精率の違いは?


はじめに
体外受精と人工授精、この二つの違いを説明できますか?
どちらも不妊治療の方法として知られていますが、詳しい方法まで知っている方は少ないのではないでしょうか?
今回はこの二つの違いに注目しながら人工授精と体外受精の対象、方法、費用、受精率についてご説明します。
体外受精・人工授精の対象の違い

〔人工授精〕
人工授精は、主に男性側に不妊の原因がある場合に行われることが多い治療方法です。
精子の数が少ない「乏精子症」、精子の運動率が低い「精子無力症」、勃起不全(ED)や逆行性射精などの性機能障害によって妊娠が難しい場合が対象となります。
〔体外受精〕
体外受精は主に女性側に不妊の原因がある場合に行われることが多い治療方法です。
女性が抗精子抗体を持っていることで精子の進入や受精が妨げられてしまったり、卵管の両側に機能不全がある場合などが対象となります。
〔原因不明の場合は?〕
不妊の原因が不明の場合には、身体への負担が比較的少ない人工授精を行い、人工授精を5回行っても妊娠できない場合には体外受精への移行を考えます。
体外受精・人工授精の方法の違い
不妊の原因により体外受精・人工授精を選びますが、治療方法はどのように違うのでしょうか。
詳しくみていきましょう。
〔人工授精の治療方法〕
人工授精は人工的に卵子近くの子宮内に精子を送り込んで妊娠しやすくするという治療方法です。
受精が行われる卵管までたどり着く精子の数を増やすことで妊娠の確率が上がります。
人工授精は排卵日を予測し排卵直前~排卵直後の期間に人口受精を行います。
自然妊娠に近いため、身体への負担は比較的少なくて済むのがメリットです。
〔体外受精の治療方法〕
精子と卵子を採取し体外で受精させ、受精卵をある程度の成長段階まで培養し、子宮に戻すという治療方法です。
不妊の原因が不明な場合や、自然妊娠率が下がる30代後半~40代になると、人口受精より体外受精を行う女性が増えます。
〔卵子の凍結保存〕
体外受精の場合、女性の体内から採取した卵子を凍結し、長時間保存しておくことができます。
排卵された卵子を採取し、-196度の超低温液体窒素で凍結して保存するのです。
卵子は女性の年齢が上がるにつれて老化し、妊娠の確率が下がるため、若いうちに未授精の状態で卵子の凍結保存をするという女性も増えています。
凍結保存した卵子は、妊娠したい時に解凍し体外受精をし、受精卵を子宮内に戻します。
日本生殖医学会のガイドラインでは、卵子の採取は40歳まで、受精卵の移植は45歳までというルールが定められています。

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体外受精・人工授精の費用の違い

体外受精や人工授精は自由診療の扱いになるため保険が適用されません。
この二つは、それぞれの1周期あたりの費用が大きく異なります。
人工授精は1回あたり約2~3万円が一般的で、体外受精になると1回あたり約10万円~30万円となります。
さらに体外受精の場合は培養した受精卵を元に戻すための費用が別途かかるので、全部で約100万円程度の費用がかかることもあります。
また卵子を凍結保存できると先ほど紹介しましたが、そのための費用も保険適用外なので約70万円~100万円と高額です。
さらに卵子1つにつき年間約1万円の保管料を毎年払い、凍結した卵子を解凍し体外受精を行うには約30万円~50万円の費用がかかります。体外受精だけではなく、卵子の凍結保存もする場合には高額な費用がかかることも覚えておきましょう。
この費用についてはあくまでも一般的な費用なので、かかる病院により費用が異なる場合もあります。事前に病院に確認しておくのが良いでしょう。

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体外受精・人工授精の受精率の違い
体外受精と人工授精の場合受精率にはどれくらい違うのでしょうか?
日本産婦人科学会の2012年のデータによると、人工授精は約5%、体外受精は約15~25%となっています。
また、どちらの方法にしても女性の年齢が上がるにつれて妊娠、出生率は下がるという結果も出ています。
32歳頃までは約20%の出生率ですが、32歳を超えると年齢と共に1%ずつ、37歳を超えると2%ずつ出生率が下がり、流産の可能性が高くなるようです。
まとめ
不妊の原因は人それぞれ違うので、自分たちに合った治療方法を見つけることが大切です。
男性に原因がある場合、女性に原因がある場合で治療方法が異なりますので、不妊治療を始める場合にはご主人の協力も必要不可欠です。
また人工授精に比べると体外受精は妊娠、出生率が上がりますが、その分費用も上がります。
治療を始める際には夫婦でよく話し合い、二人が納得できる方法で行うようにしましょう。

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