体外受精から排卵誘発法の特徴までを解説   

不妊症である多くの人の悩みを解決している体外受精ですが、よりよい妊娠へと導くには排卵を正常にすることが大切となってきます。実際に取り組むにしてもある程度の知識は持って臨みたいものです。体外受精から排卵誘発法の詳細までを解説いたします。
  1. 1. はじめに
  2. 2. 体外受精とはこういうもの
  3. 3. 体外受精で用いられる排卵誘発法とは
  4. 4. 排卵誘発方法5つの特徴
  5. 5. 排卵誘発方法を選ぶときに留意すること
  6. 6. まとめ

はじめに

体外受精が世界に誕生したのは1978年のイギリスが最初です。今では日本においても普及率は目まぐるしく、産まれてきた赤ちゃんの50人に1人は体外受精によって命を授かったといわれます。

不妊に悩む多くの夫婦が体外受精法によって新たな道を歩むようになりました。その「体外受精」とはどんなものなのか、「排卵誘発」とはどんなものか、詳しく見てみましょう。

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体外受精とはこういうもの

体外受精(ART)は女性の卵子と男性の精子を体外に取り出し、シャーレのなかに共に保存することで自然な受精をさせ、細胞分裂が一定の段階まで進んでから子宮に着床させる方法です。

似たような方法に人工授精がありますが、体外受精との違いは自力で排卵するのを待ってから受精させるか、排卵をさまざまな力を使って誘発するかという排卵方法の部分になります。

性行為によって受精させるかどうかの違いはありますが、受精卵を着床させたあとはお腹の中で赤ちゃんが育つ過程においては差がないので親となる実感は自然妊娠とは差異がありません。
人工授精でも難しいと判断された方たちの不妊治療の最終療法となります。

適応する人は?

  • 卵管が閉塞している場合
  • 手術などで卵管がない場合
  • 抗精子抗体と診断された場合
  • 子宮内膜症
  • 女性の年齢が高く卵子の老化が考えられる場合
  • 男性が乏精子症や精子無力症
  • 免疫系の疾患が原因の不妊症

どんな流れ?

  • 各選択方法で排卵を促す
  • 膣内から卵子を採取する
  • 自宅または病院で射精によって精子を採取
  • 培養容器内(シャーレ)で卵子と精子を自然受精させる(3~12時間)
  • 細胞分裂させる(3~4日)
  • 膣から受精卵を女性の子宮内にもどす
  • 妊娠判定(2~4週間後)
  • 体外受精で用いられる排卵誘発法とは

    体外で卵子と精子を受精させる前段階として排卵を促進させる手法が用いられます。
    排卵はあるけれど毎回ではなく不規則に起きる方や自力では排卵が起きないといった方を適応として排卵をサポートするわけですが、排卵誘発はただ卵子を引き出すのではなく、卵子を正常な機能を維持させるように育てるという目的のものです。

    受精に対して体外で行われる方法も多くの改良方法が生み出されていますが、体内環境で卵子に受精能力を高める自然な方法には勝てません。そういった点でも排卵誘発が重要となります。誘発方法としては排卵誘発剤を内服薬として投与か、注射によって投与かという2種類があります。

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    排卵誘発方法5つの特徴

    排卵誘発方法は排卵誘発剤の使い分けだけではなく排卵を抑制しながら必要なタイミングで排卵を誘発する、あるいは卵巣への刺激の大きさや効果の強弱によっても方法の種類は変わってきます。
    刺激の大きさで分類すると5種類に大別されます。

    完全自然周期
    内服でも注射でも排卵誘発剤を一切使わない方法です。
    その人が持っている排卵周期に合わせて採取するものですので培養する卵子は一つとなります。女性の卵巣や体に負担をかけないことが最大のメリットであり、その分複数の卵子に比べると受精の確立が低くなる、採卵も複数回になると費用も高くなるというデメリットがあります。

    低刺激周期
    排卵誘発剤を内服薬として投与し卵子を数個育てる方法です。
    経口薬剤といっても卵巣に与える刺激が少なく、注射を打たなきゃならない苦痛からも逃れられ負担が軽い用法です。
    またできるだけ自然体に近い方法ですので、その分卵子の質が良いとされます。
    しかし排卵のタイミングが合わなかいことや卵子が基本的に1個のため受精しにくいというデメリットがあります。

    高刺激(ショート法)
    1ヶ月で採卵するというもので、月経が開始してからGnRHアゴニスト製剤を投与し(点鼻薬)、排卵させないようにホルモンをコントロールしながら、卵胞を育てるためのhMG製剤の注射も並行して行います。
    採卵日が決定したら今度はhMG製剤を中止して、排卵を促す作用のhCG製剤を投与し採卵となります。

    治療期間が短いので時間の拘束が少なく、投与する薬も少なくて済みます。しかしhCG注射の副作用で卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になりやすいというデメリットもあります。

    高刺激(ロング法)
    月経1か月前からGnRHアゴニスト製剤を投与し排卵を抑制します。hMG注射で卵子の成長を促し、採卵日が決まってからhMG製剤を中止して、排卵を促す作用のhCG製剤を投与し採卵となります。

    ショート法に比べて採卵日を調整しやすく、育てた卵子の数も多くなるので妊娠率が高くなります。反面、注射の回数も多く苦痛、治療費も高額となる、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクもあるというデメリットがあります。

    高刺激(アンタゴニスト法)
    排卵反応を抑えるためにアゴニスト製剤を使用しますが、同じような働きをするアンタゴニスト製剤を注射で投与する方法です。
    点鼻薬は約3週間にもわたって投与していかなければならないのに対して、排卵のタイミングを見てから投与できるというメリットがあります。デメリットは注射の苦痛や費用が高価という部分になるでしょう。

    排卵誘発方法を選ぶときに留意すること

    女性の年齢や妊娠歴、流産歴、卵巣や子宮の機能、女性ホルモンの状態などが選択するためのベースとなります。

    女性の体を重要視するならば完全自然法から低刺激法が良いと思われますが、卵子の老化などがあっては適応しないこともあります。
    また多嚢胞性卵巣症候群などで排卵コントロールが難しい場合や確実性を一番重視するには高刺激法が適応することになるでしょう。しかし、治療期間や費用なども関わってきますので、まずは担当医師としっかり話し合うことが必要です。

    まとめ

    体外受精を決定したとしても排卵誘発方法が変わってきます。
    個人の環境や体の状態に合わせてテーラーメイドされますので種類も多くなります。

    良いとされている方法でも自分には合わないとか費用や治療期間の融通さも必要になってきます。なによりも体にとって負担がゼロのものはありませんので、しっかりと内容を把握し、医師との相談を重視することが必要です。

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