高用量インフルワクチンで介護施設入居者の入院リスク低下

介護施設に入居する高齢者では、従来ワクチンの4倍量の抗原を含む高用量インフルエンザワクチン(商品名:Fluzone)を接種すると、インフルエンザで入院するリスクを大幅に低減できることが新たな研究で示された。研究を率いた米ブラウン大学のStefan Gravenstein氏は、「本研究では対象者の4分の1が90歳以上であり、高用量ワクチンが超高齢者にも有効であることが示された」と話している。

 本研究はワクチンの製造元であるSanofi-Pasteur社の支援により実施され、結果は「Lancet Respiratory Medicine」7月20日オンライン版に掲載された。

 研究では、米国38州823カ所の介護施設に入居する65歳以上の高齢者3万8,256人を対象として、2013~2014年のインフルエンザシーズンのメディケア請求データを分析した。これらの施設は、入居者に高用量インフルエンザワクチンを接種する施設と、標準用量のワクチンを接種する施設にランダムに割り付けられていた。

 その結果、同シーズンの半年間の呼吸器疾患による入院の発生率は、標準用量群の3.9%に対して高用量群では3.4%で、約13%の入院リスクの低下が認められた(調整後の相対リスク0.873、95%信頼区間0.776~0.982)。さらに、呼吸器疾患以外の原因による入院を含めた全体的な入院率も、高用量群で大幅に低下することが分かった。

 「今回認められた入院リスクの低下のうち、呼吸器疾患を主な原因とする入院による影響は3分の1にとどまった。高用量インフルエンザワクチンは呼吸器疾患以外の原因による入院の回避にも有用だと考えられる」と、Gravenstein氏は述べている。

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 なお、今回の結果を踏まえると、入居者に接種するワクチンを標準用量のものから高用量のものに変更した場合、69件変更するごとに1件、シーズン中の入院を回避できることになるという。一方で、全体の死亡率にはワクチンの種類による影響は認められなかった。

 Gravenstein氏によると、過去にも高齢者に対する高用量ワクチンの有効性を示した1件の研究があるが、比較的健康な人を対象としたものだった。そのため、介護施設に入居するフレイル(虚弱)の高齢者にも効果が認められるのか、確認する必要があったという。

 重篤患者のケアの専門家である米スタテン・アイランド大学病院のTheodore Strange氏は「慢性疾患を抱える患者では、入院せずに住み慣れた環境で過ごすことで生活の質(QOL)が向上する」と話し、「今回の研究は適切にデザインされたものであり、医療費およびQOLの両面で重要なものだ」と結論づけている。さらに同氏は「高用量ワクチンへの変更には費用がかかるが、患者の入院を回避することによる利益の方が上回る」との見解を示している。

 米ノースウェル・ヘルス、プレインビュー・シオセット病院のAlan Mensch氏は「この研究で死亡率への影響がみられなかったのは、研究を実施したシーズンは比較的弱いウイルス株が主に流行していたためだろう」と指摘。また、「全ての人に一律の用量が適するわけではなく、医学的な状態や性、年齢に合わせた個別化医療を目指す必要がある」として、その観点からも今回の知見は役立つだろうと述べている。

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HealthDay News 2017年7月21日
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