痛いけど必要…注射薬の種類について解説

注射の種類について

病院での治療や予防接種に用いられる注射には様々な方法や種類があります。そんな注射薬の目的や種類、メリットについて解説します。
  1. 1.はじめに
  2. 2.様々な投与経路
  3. 3.様々な注射の薬液
  4. 4.輸液治療の分類
  5. 5.電解質輸液の分類
  6. 6.複合電解質輸液の分類と使用目的
  7. 7.栄養輸液製剤
  8. 8.まとめ

はじめに

病院などで必要な時に打たれる注射薬、予防接種などで1度は経験したことがあると思います。針で刺され痛みを伴うので好きな方はいないでしょう。しかし、注射薬にはしっかりと病気を治すための利点があるのです。
今回はそんな注射薬の種類やメリットについて解説します。

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様々な投与経路

皆さんのイメージとしては注射は血管の中へ直接針を刺して薬品を注入するイメージの方が多いと思います。実は注射は血管以外にも薬の特性や治療の目的に合わせて皮下、筋肉、静脈、髄腔内と様々な投与経路が存在するのです。

皮下注射
薬剤を皮膚の下の脂肪の部分(皮下組織)に投与する注射方法です。投与された薬は毛細血管に入って、太い血管の血流に入るか、リンパ管を経由して血流にはいって全身を巡ります。
糖尿病の人が血糖を下げるために使用するインスリンは内服(経口)では胃酸によって分解される為に皮下注射されます。
またインスリンは一気に血管に入ると効きすぎて低血糖を起こす恐れもある為、ゆっくりと血液内に入る皮下投与が向いているのです。

筋肉注射
上腕の三角筋やお尻の中臀筋に薬を投与します。
皮下注射よりも大量の薬の投与量が必要な場合には筋肉注射が選択されます。
また皮下注射よりも早く吸収される為、早めに効果を出したい時にも選択されます。

静脈注射
血管に薬を直接注射する方法です。
筋肉注射よりも大量の薬液を注入する事ができます。
注射方法の中で最も速く薬の効果が現れやすい方法になります。その為、救命時の緊急処置などに適しています。

髄腔内投与
髄腔内投与では背骨である脊柱を構成している椎骨と椎骨の間に薬液を注入します。髄膜炎の治療の為の抗生剤や歯科などで麻酔薬を局所的に作用させるために使用されることが多い投与方法です。

様々な注射の薬液

注射液にはその有効成分の溶かし方によって様々な種類に分けられます。

水性注射剤
有効成分を蒸留水で溶かした注射液です。

非水性注射剤
有効成分を蒸留水以外の植物油やプロピレングリコールで溶かした注射液です。溶かす溶媒の種類によっては有効成分の効果を持続化させることもできます。

懸濁性注射剤
水や有機溶媒で溶けない成分を細かく砕いて溶媒に分散させた注射剤です。
投与の際にはよく振って均一に分散させる必要があります。

固形注射剤
有効成分の薬剤を凍結乾燥させて、投与の際に溶かして使用します。抗生剤などに多い注射剤です。

輸液治療の分類

静脈注射で薬液をゆっくりと投与してゆくいわゆる点滴と呼ばれる注射を輸液と呼びます。
輸液療法では、食事や飲水が不十分な場合の体液(水分)バランスの補正、体液バランスの維持、栄養の補給、原疾患の治療を主な目的として行われます。
輸液療法は大きく分けて電解質輸液と栄養輸液に分類されます。

電解質輸液の分類

電解質輸液は単一電解質輸液と複合電解質輸液に分けられます。
単一電解質輸液は体に必要な電解質であるナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、マグネシウム等を補給する電解質補正液と体内の酸性、アルカリ性のバランスであるpH補正液があります。
複合電解質輸液はさらに細胞外液補充液と低張電解質輸液に分かれます。

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複合電解質輸液の分類と使用目的

細胞外液補充液
嘔吐や下痢などによる発熱や急性腎不全、ショックなどに用いられます。

低張電解質輸液
低張電解質輸液は入っている電解質や糖質の割合によって1号~4号に分類されます。

開始液(1号)
カリウムを含んでいない輸液になります、カリウムは時に心停止を起こしたりする為、脱水の原因が不明な場合にこの開始液が用いられます。

脱水補給液(2号)
1号液にカリウムを加えたもので細胞内補充液といわれます。電解質の濃度は最も濃い輸液です。

維持液(3号)
2000~2500mLの投与で成人に必要なナトリウムやカリウムの1日量を補給出来ます。

術後回復液(4号)
3号液からカリウムを除いたものになります。カリウムを投与したくない場合に選択されます。

栄養輸液製剤

口からの食事や飲水が出来ない場合に栄養補給として、点滴から栄養分を補給する事があります。栄養輸液製剤は糖・アミノ酸・脂肪乳剤の3つがあります。

糖質液製剤
糖質液製剤にはブドウ糖が含まれています。
ブドウ糖1gは4キロカロリーに相当します。栄養が供給されない飢餓状態では、体内の筋肉のタンパク質を崩壊させ、エネルギーやアミノ酸を供給する為にやせ細ってしまいます。糖分が1日に100g供給されれば筋肉のタンパク質の崩壊を約半分に抑えることが出来ます。

アミノ酸輸液製剤
アミノ酸は生体に必要なタンパク質の合成、生命活動に必要な体内物質の原料、飢餓状態のような場合でのエネルギーとして重要な働きを持っています。
十分なエネルギーが投与されていないとアミノ酸はタンパク質合成の成分として利用されないため、糖質液製剤と一緒に投与する必要があります。

脂肪乳剤
1g当たりのカロリーが糖質やアミノ酸の約2.3倍あり少ない量で高カロリーのエネルギーを補給できます。
必須脂肪酸であるリノール酸やリノレン酸を含んでいます。

まとめ

注射薬についてまとめました、病院などで取り扱っている注射や点滴には様々な種類や投与方法があります。治療に重要な有効成分を効率よく投与出来たり、体に必要な水分や栄養を補給する為に必要であることが分かったかと思います。針を刺すのは痛いけど病気を治すの為にぐっとこらえてしっかりと治療してもらいましょう。

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