戦場でも使用可能、眼の外傷の応急処置にゲル材


眼科医による手術をすぐに受けられない状況での応急処置に役立つ可能性があるという。
Whalen氏らが開発したのは、低温では液状だが眼に塗布するとシール状に固まるゲル材。ウサギを用いた実験では、眼の穿通性外傷にこのゲル材を塗布したところ眼圧が改善し、使用後4週間にわたって炎症や感染は認められなかった。
現時点では動物実験で有効性が認められた段階だが、同氏らは2019年にヒトを対象とした臨床試験を開始し、まずは安全性について検証する予定だという。
眼の外傷はすぐに手当てをしないと失明する可能性がある。
同氏らは「われわれが開発したゲル材があれば、戦場のような眼科医による治療をすぐに受けられない環境でも迅速に応急処置ができる可能性がある」と話す。

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使用法は簡便で、低温で保存しておいた液状のゲル材を眼の受傷部分に塗布するだけだ。ゲル材は眼の温度でシール状に固まるため、迅速に外傷をふさぐことが可能だという。
応急処置を受けた患者が眼科医による手術を受ける際には、冷水をかけるだけで除去できる。
Whalen氏らは、塗布する前にゲル材を短時間で冷却できる専用のシリンジも開発しており、これを使えばゲル材を前線まで持ち運び、近くにいる兵士が眼に外傷を負った兵士の応急処置を行えるとしている。
同氏らによると、戦場での眼の外傷は近年、増加傾向にある。
即席爆発装置の使用が広がっていることなどが増加の要因として考えられるという。
今回のゲル材の開発も、米国国防総省は研究者らに眼の外傷の新たな治療アプローチの開発を求めたことがきっかけだったと同氏は説明している。
なお、同氏らは「事故で一度に多数の傷病者が出たときや、眼科手術を行える施設がない地域の救急外来などでも、眼の外傷に対する応急処置にこのゲル材を活用できる可能性がある」としており、戦場に限らずさまざまな状況で使用できるのではないかと期待を寄せている。

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