皮膚細胞から機能する筋肉の作製に成功

ヒトの皮膚組織から作った人工多能性幹細胞(iPS細胞)をもとに、実際に機能する筋肉を作製することに初めて成功したとする研究結果が「Nature Communications」1月9日オンライン版に掲載された。

研究を実施した米デューク大学生物医工学教授のNenad Bursac氏らは「新たな治療法の開発や筋疾患の原因解明につながる可能性がある」としている。

Bursac氏らは今回、実験室でヒトの皮膚細胞を初期化(リプログラミング)し、iPS細胞を作った。
次に、この細胞に筋細胞への変化を開始するよう合図する働きを持つ分子であるPax7の遺伝子を導入して培養し、筋幹細胞に分化させた。
さらに、この細胞を培養し、実際に機能する筋線維を作ることに成功したという。

作製された筋線維は健康な成人の筋組織ほど丈夫なものではなかったが、刺激を与えるとヒトに本来備わっている筋組織と同じように反応した。
また、培養した筋線維をマウスに移植したところ、3週間以上にわたって生着し、機能し続けることが確認された。

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Bursac氏らは「iPS細胞から作製した筋線維を治療で使用するにはさらなる研究が必要だ」としているが、特に希少疾患の研究でこうした筋線維を活用できるのではないかと期待を示している。
同氏は「研究で筋組織の検体が必要であったとしても、例えばデュシェンヌ型筋ジストロフィーなどの小児患者の筋組織を採取することは、既に衰えている筋肉をさらに傷つけることになるため倫理的に問題がある。
これに対し、皮膚や血液など筋肉以外の組織から採取した細胞をもとにした筋線維を使用すれば、患者を傷つけないで済む」と説明している。

さらに、同氏らは今回の技術を遺伝子治療と組み合わせて新たな治療法の開発につなげられる可能性もあるとしている。
理論上は、患者から採取した細胞の遺伝的な異常を修復して正常な筋組織でできた小さなパッチを作製し、治療に用いることも考えられる。同氏は「こうした治療によって筋疾患患者の全身の筋肉を治癒させることはできないかもしれないが、他の遺伝子治療と組み合わせたり、局所治療に用いたりすることは可能かもしれない」としている。

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HealthDay News 2018年1月9日
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