血糖変動の大きさは左室拡張不全の独立したリスク因子――神戸大学

左室収縮機能の保たれた心不全(HFpEF)を併発している2型糖尿病患者では、血糖変動の大きさが左室拡張機能の低下と独立して関連していることが報告された。神戸大学大学院医学研究科循環器内科学分野の田中秀和氏らの研究によるもので、詳細は「Cardiovascular Diabetology」12月5日オンライン版に掲載された。

 2型糖尿病はHFpEFを併発する頻度が高いが、糖尿病患者の左室拡張機能の低下のリスク因子は明らかになっていない。一方、HbA1cでは把握できない血糖変動の大きさが、各種糖尿病合併症のリスクに関連していることが近年注目されている。田中氏らはこの点に着目し、連続血糖測定(CGM)から求めた血糖変動(GV)と拡張機能(E/e’)との関連を検討した。

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 対象は神戸大学病院の入院2型糖尿病患者のうち心エコー検査とCGMが施行された100人で、年齢60±14歳、左室駆出率65.6±4.9%、女性45%。左室駆出率50%未満の収縮不全、eGFR30mL/分/1.73m2未満の腎機能障害、および冠動脈疾患や心房細動、弁膜症、開心術の既往者などは除外した。

 CGMから得られた血糖値標準偏差の平均は35.9mg/dLだったことから、これを基準に2群に分類すると、E/e’は血糖変動が大きい高GV群11.3±3.9、血糖変動が少ない低GV群9.8±2.8で、高GV群が有意に高く(P=0.03)、血糖変動が拡張不全に関与していることが示唆された。なお、左室駆出率は高GV群66.8±5.4%、低GV群64.8±4.3%だった(P=0.04)。

 E/e’>14で拡張不全を定義し関連因子を検討すると、単変量解析で高GVの他に年齢と高血圧が有意な因子として抽出され、HbA1cや左室駆出率、性(女性)などは有意でなかった。多変量解析では高GV(オッズ比3.670)と年齢(同1.070)のみが有意な因子として残った。

 次に、HbA1cの中央値8.2%を基準に2分しGVの高低と併せてE/e’を検討。すると、HbA1cは比較的良好だが血糖変動が大きい低HbA1c高GV群のE/e’は11.9±4.3、HbA1cは高いが血糖変動は少ない高HbA1c低GV群は9.6±3.0で、前者が有意に高く(P=0.04)、HbA1cの高低よりも血糖変動の大きさの方が重要であることが示された。

 これらの結果から、研究グループは「血糖変動は、左室収縮機能が保たれている2型糖尿病患者の拡張不全に関与する重要な因子だと考えられる。血糖変動を抑えることが、HFpEFの発症を防ぐ新たな治療戦略となる可能性がある」と結論をまとめている。

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HealthDay News 2019年12月23日
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