妊娠後期に出血は当たり前?異常な出血と正常な出血の見分け方

妊娠後期の出血について

もうすぐ赤ちゃんが生まれる妊娠後期に出血があったらお母さんはかなり不安になるのではないでしょうか?今回は妊娠後期に起こる出血の種類と特徴、そして異常な出血がある際に考えられる症状とその対処方法をご紹介します。
  1. 1.はじめに
  2. 2.妊娠後期とは
  3. 3.妊娠後期に起こる出血の種類の特徴
  4. 4.前置胎盤
  5. 5.早産・切迫早産
  6. 6.妊娠後期の出血の見分け方
  7. 7.まとめ

はじめに

胎動を盛んに感じるようになり 、もうすぐ赤ちゃんに会える楽しみが大きい妊娠後期ですが、ちょっとした出血でもなにか異常があるのかと心配になってしまうのではないでしょうか?

妊娠後期の出血には正常なものと、異常を知らせるサインであるものの2つがあります。
異常な出血はすぐに対処しないと赤ちゃんが危険な状態になってしまうこともあります。

今回は妊娠後期に起こる出血の種類と特徴、そして異常な出血がある際に考えられる症状とその対処方法をご紹介します。

妊娠後期とは

妊娠後期とは妊娠28週0日(8ヶ月)~妊娠39週6日(10ヶ月)までを指します。
妊娠28週を超えると胎児の動きが一番活発になり、お腹が膨らんで身体が重くなります。
妊娠32週を超えるとお腹は更に大きくなって動くのが大変になる時期になります。
母体も赤ちゃんも出産に向かって準備している時期です。

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妊娠後期に起こる出血の種類の特徴

妊娠後期は血液量が増え、粘膜も分娩に向けて柔らかくなります。
その為、人によっては内診やセックスの刺激で出血してしまったり、膣の炎症や子宮膣部のびらん、子宮頚管ポリープ等からも出血してしまう事があります。

これらは治療をしたり、軽度であれば様子を見る出血なので健診をしっかり受けていれば心配ありません。
また妊娠中は便秘が起こりやすく、更に妊娠後期は大きくなった子宮に腸が圧迫されて排便の時に負担がかかり、肛門周囲の粘膜や皮膚が切れて切れ痔になる事もあります。

切れ痔の特徴として排便時に肛門に痛みを感じたり、肛門を拭いた時にトイレットペーパーに鮮血が付着します。
切れ痔は悪化すると最悪の場合、手術が要する事になるので、早期の段階で治療する事をお勧めします。

出血の種類として分娩近くになるとおしるしという現象が起こります。
このおしるしの程度は個人差があって、おしるしが無い場合もあります。

おしるしの場合、おりものに血が混ざっている程度でドロッとしています。
おしるしはもうすぐ陣痛が起こるサインなので心配ありません。
ただし、いつ陣痛が始まっても良いように入院できる準備をしておきましょう。

一方、大きな血の塊や生理の多い日のような出血、だらだらと長くて止まらない出血は、何かしらの異常を示している可能性があります。

そして異常な出血で多いのが以下の2つです。

前置胎盤

これは胎盤が正常よりも低い位置に付着し、胎盤が子宮口の出口にかかってしまったり、完全に覆ってしまっている状態です。
前置胎盤になる確率は全分娩の0.3~0.6%です。

胎盤は普通、子宮の上部に付着しますが前置胎盤は赤ちゃんが出てくる産道を塞いでしまっているので帝王切開になります。

また、前置胎盤は子宮内膜の薄い出口付近にあるので子宮壁深くまで根を張っている場合があります。

この場合、なかなか胎盤が剥がれず、胎盤を剥す時に血管を損傷してしまう事もあります。
その結果、大量出血を起こす危険性もあります。

しかし、前置胎盤を診断されるのは妊娠31週になってからです。

妊娠初期で胎盤の位置が低くても妊娠が進んでいくと正常な位置に移動する場合も多いため、31週までは診断されません。

前置胎盤になると異常な出血をしやすくなります。

前置胎盤は腹痛の伴わない出血とお腹の張りが大きな特徴です。
この出血は突然大出血する事もあれば、最初は少量から始まる事もあります。

診断されても出血がなければ日常生活を送ることはできますが、出血しやすい状態という事を念頭において生活しましょう。

家事や運動は控えてできるだけ安静に過ごし、出血しているのを発見したらすぐに病院へ行きましょう。

早産・切迫早産

早産とは妊娠36週6日までの出産の事です。
早産すると新生児治療室で長期間の治療が必要になり、身体や発達に障害が起こる可能性が高くなってしまいます。

また生産期(妊娠37週~妊娠41週6日まで)直前でも呼吸障害等を起こす可能性が考えられます。

よって早産の兆候が出現したら子宮収縮を抑える投薬や破水が起こっている場合は感染を防ぐ処置と、できるだけ出産を遅らせる対策がされます。

早産・切迫早産の症状として出血、持続するお腹の痛み、お腹の張りが挙げられます。

お腹の痛みや張りが安静にしていても治まらずに規則的、持続的に続くなら陣痛が始まっている可能性が高いです。

この出血の原因は以下の2つが考えられます。

  • 正常分娩と同じように赤ちゃんを包む卵膜が剥がれる事で起きる。
  • 子宮頚管、子宮が感染によって炎症を起こす(絨毛羊膜炎)

出産が始まっている可能性もあるので病院に行きましょう。

早産・切迫早産を予防する為には、以下の事に注意して下さい。

疲れを溜めない
疲れていると免疫力が低下し、感染症に罹患しやすくなります。

ストレスを溜めない
これも免疫力を低下させてしまいます。ストレスは自律神経に影響し、食欲不振や眠れない等の症状を招き、身体の機能も低下してしまいます。

身体を冷やさない
身体が冷えると免疫細胞の活動を弱めてしまい、免疫力が低下します。

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妊娠後期の出血の見分け方

正常な出血であるおしるしは、薄いピンクや茶褐色でおりものが混じっているネバつきがあるものです。

そして注意しなければならない出血の色や状態は以下の通りです。

  • 鮮血
  • サラサラ
  • 何日も続く

出血量が多く血液だけの場合は、鮮血で粘り気がなく、サラサラした状態です。
羊水が一緒に出ていることもあります。
そして少量の出血でも何日も続く場合は要注意です。
出血は何かしらのトラブルのサインです。自己判断せずに病院に行きましょう。

まとめ

妊娠後期の出血は正常なものと異常のサインである場合に分かれます。
異常な出血の多くは前置胎盤、早産・切迫早産によるものです。
どれも放っておくと母子ともに危険なのですぐに病院に連絡を入れましょう。
自分の出血がどういう症状でどの程度なのかを観察し、病院に連絡すると医師や助産師に適切な判断をしてもらえます。
赤ちゃんが危険がない状態で生まれてくるよう、異常出血を見極めましょう!

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