低出生体重の女性は糖尿病になりやすい? 成人後に肥満がなくてもリスクは有意に増加、日本人看護師調査


たとえ成人後のBMIが低めの正常値(18.5~20.9)であっても、出生体重が2,500g未満だった女性は3,000~3,500g未満だった女性に比べて糖尿病を発症するリスクが5倍近くに上るという。
詳細は「JournalofEpidemiology」9月号に掲載された。
出生体重は成人後に発症する糖尿病の重要な決定因子であると考えられているが、成人期のBMIによる影響は明らかにされていない。
片野田氏らは日本の女性看護職員を対象とした疫学研究、日本ナースヘルス研究(JapanNurses’HealthStudy;JNHS)のデータを用いて、成人期のBMIを考慮した上で出生体重と成人発症糖尿病との関連を調べる観察研究を行った。
対象はJNHSに参加した女性看護師2万6,949人。
30歳未満、妊婦、30歳未満で糖尿病を発症した女性は解析から除外した。
対象女性には2001~2007年のベースライン時に自記式質問紙による調査を行い、糖尿病の既往歴、出生児の体重に加えて、母親の妊娠期間、成人後(現在の)BMI、両親の糖尿病既往歴について尋ねた。

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その結果、年齢やBMI、両親の糖尿病既往歴を調整した解析によると、出生体重が低い女性ほど成人後に糖尿病を発症するリスクが高まっており、出生体重が100g増えるごとに糖尿病を発症するリスクは7%低下していた(オッズ比0.93、95%信頼区間0.90~0.96)。
なお、出生体重を妊娠期間のパーセンタイルに置き換えても同様の結果が得られた。
また、対象女性を現在のBMIで5つの群(18.5~20.9、21.0~22.9、23.0~24.9、25.0~26.9、27.0以上)に層別化して解析したところ、成人期に過体重~肥満(BMI25.0以上)の女性では出生体重にかかわらず糖尿病リスクは高まっていたが、BMIが低めの正常値の女性では、出生体重が低いほど糖尿病になりやすく、2,500g未満だった女性は3,000~3,500g未満だった女性に比べて糖尿病の発症リスクは4.75倍に上っていた。
以上の結果を踏まえ、片野田氏らは「出生体重は成人後の糖尿病発症に影響を及ぼす可能性がある」とし、成人後に肥満がなくても出生体重が低い女性では糖尿病リスクが高まる点に留意すべきだとアドバイスしている。

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