米国で致死性ウイルスを作製する研究が解禁

米国立衛生研究所(NIH)は12月19日、致死性ウイルスを作製する研究への財政支援を3年ぶりに解禁することを発表した。

NIH所長のFrancis Collins氏は「今後、ベネフィットがリスクを上回ると判断されれば、研究の一環としての致死性ウイルスの作製が可能になる」と説明している。

NIHが認めるのは、ウイルスを改変して致死性を高める操作を伴う研究。こうした研究によって、鳥インフルエンザが突然変異を起こしてヒトに容易に感染するようになるメカニズムの解明や、ワクチンの開発につなげることが期待されている。

しかし、意図せず致死性の高い病原体が研究室の外に漏れ、感染が広がる可能性があることを懸念する「反対派」の声も上がっている。

今回のNIHの決定について、Collins氏は「科学的探究を目的としており、正当性が認められた場合にのみ厳重な安全管理のもとで実施されることになる」とNew York Times紙に語っている。
新たな規則では、研究者に対し、その研究が健全なものであり、病原体の改変によってワクチンの開発といったヒトに有益な知見をもたらし得ることを明らかにするとともに、研究目的を果たす上でより安全な手段がないという根拠を示すことが要求される。

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米国では2014年10月、インフルエンザ、中東呼吸器症候群(MERS)、重症急性呼吸器症候群(SARS)の3種類のウイルスを改変して致死性を高める研究に対し、連邦政府による財政支援が停止された。

今回のNIHの決定により、今後はこのような研究も可能となる。同紙によれば、理論的には空気感染するエボラウイルスを作製する研究もできるようになるという。
なお、2014年の禁止措置により21件の研究プロジェクトが中止されたが、その後10件が例外として認められ、継続されたとCollins氏は説明している。

生物兵器の専門家である米ラトガース大学のRichard Ebright氏は、以前からこの種の研究に批判的な立場をとっている。
同氏は、研究の許可にあたり審査委員会を設けることについては支持するが、政府ではなく第三者による委員会が望ましいと主張している。
米ハーバード大学公衆衛生大学院のMarc Lipsitch氏も同様に慎重な姿勢を示し、「この種の研究がパンデミック対策に寄与した例はほとんどない一方で、不慮の事故によるパンデミック発生のリスクは上昇させる」との見方を示している。

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HealthDay News 2017年12月19日
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