日によって血圧値が大きく変動する人は認知症リスクが高い?

血圧値が測定した日によって大きく異なる人は、認知症を発症するリスクが高い可能性が、60歳以上の日本人約1,600人を対象とした新たな研究で示された。日ごとの血圧値の変動幅が大きな人では、血圧値が安定している人と比べて認知症リスクが2倍超となることが分かったという。

 この研究は、九州大学大学院医学研究院精神病態医学の小原知之氏らが実施したもの。福岡県久山町の疫学調査「久山町研究」に登録されている地域住民のうち、60歳以上で認知症のない男女1,674人を2007年から2012年まで5年間追跡した。対象者には高血圧患者も含まれており、約40%が降圧薬を使用していた。

 対象者は研究開始時に28日間(中央値)にわたって毎朝3回、家庭血圧計で血圧を測定した。小原氏らは今回、3回の測定値の平均値をその日の血圧値として変動係数を求め、日ごとの血圧値〔収縮期血圧(SBP)値および拡張期血圧(DBP)値〕の変動幅の大きさと、認知症リスクとの関係について調べた。

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 その結果、追跡期間中に194人が認知症を発症し、そのうち47人が血管性認知症、134人がアルツハイマー病だった。日ごとのSBP値の変動幅を「最も大きい」から「最も小さい」まで4段階に分けたところ、変動幅が最も大きい人のグループでは、最も小さい人のグループと比べて全体的な認知症のリスクが2.27倍、血管性認知症のリスクが2.79倍、アルツハイマー病のリスクが2.22倍になることが示された。

 また、日ごとの血圧値の変動幅が大きいことによる認知症リスクの上昇は、高血圧患者だけでなく正常血圧の人でも認められた。小原氏は、今回の研究結果で最も重要なのは「日本の一般的な高齢者において、日ごとの血圧値の変動幅が大きいことは、認知症発症のリスク因子であることが示された点だ」と説明。ただし、この研究は観察研究であるため、小原氏は「血圧の変動幅が大きいことが原因で認知症を発症することが示されたわけではない」と注意を促している。その上で「もし血圧値の変動幅が大きければ、それを安定化させることが認知症の予防に役立つ可能性はある」との見方を示している。

 この研究結果を受け、米ウェイル・コーネル医科大学のCostantino Iadecola氏は「(小原氏らのグループは)研究に家庭血圧計を使用することで、血圧の変動幅と認知症リスクとの関連を明確に示すことができた」と評価。「血圧の変動幅を小さくする対策を講じれば、脳の血管の健康を維持できるかもしれない」との考えを示し、そのタイミングについて「高齢になってからではなく、認知機能の低下が始まる中年期から手を打つことが望ましい」と話している。

 その一方でIadecola氏は、小原氏らの研究論文に関する論評で、血圧値は測定時の体調や使用している薬剤による影響を受けやすく、降圧薬の飲み忘れなどで変動が生じる場合もあるなど、研究には複数の限界があることを指摘。「今後、より大規模かつ多様な集団で今回の研究結果を検証する必要がある」としている。

 この研究の詳細は「Circulation」8月8日号に掲載されている。

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HealthDay News 2017年8月7日
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