薬のキホン~効き方から副作用まで~

薬について

はじめに
皆さんは風邪を引いたときや花粉症で鼻水が止まらない時、運動していてケガで打撲や捻挫した時は病院へ受診して薬を貰ったり、ドラッグストアで自分で薬を購入するかと思います。
飲み薬や湿布薬には様々な種類が販売されており、体に入ってから様々な効果を発揮しますが、その反面副作用が起こってしまうこともあります。
本記事では、薬の種類から副作用に対する対処法を解説します。

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様々な薬の種類
薬はまず漢方とそれ以外の製剤(化学的に合成、製造された薬)に分類されます。
漢方以外の製剤には、使用部位用途により、まず大きく11種類に分類されます。
- 錠剤やカプセルなど経口投与製剤
- 口腔内に適用する製剤
- 注射投与する製剤
- 透析に用いる製剤
- 吸入剤など気管支肺に作用する製剤
- 目薬など目に投与する製剤
- 耳に投与する製剤
- 点鼻薬など鼻に適用する製剤
- 座薬など直腸に適用する製剤
- 膣に適用する製剤
- 塗り薬など皮膚などに適用する製剤
このように様々な薬があり、使用する薬の種類が多くなるほど、思わぬ副作用が出たり、薬の作用が効きすぎる、あるいは互いに効果を打ち消しあって効きにくくなるということがあります。

薬が体に入ってから排出されるまで
薬は体に入ってから吸収→分布→代謝→排出という大きく4つの過程を通ります。
吸収
飲み薬はまず口から入り胃を通って腸に辿り着き血液中へと吸収されます、薬の効果をしっかり発揮させるにはより効率よく腸から薬が吸収される必要があります。
注射薬は直接血液中に入る為、腸を経由し吸収されることがありません。
分布
血流に乗った薬剤は全身を巡り標的の臓器へ分布します。例えば心臓の血管が過度に収縮する狭心症の薬であれば、薬が血流に乗って心臓の血管に到達し血管の収縮を抑えます。
代謝
薬剤は体に残り続けると、効果がずっと現れて逆に効きすぎたりして問題となる事があります。その為、化学物質などを分解する酵素を多数含んでいる肝臓で薬も分解(=代謝)されます。
逆に代謝されてから効果を発揮する薬や代謝されても効果はそのままの薬もあります。
排泄
血液中の老廃物が腎臓によって尿になり膀胱を通って体外へ排泄されるように薬物や肝臓によって分解された薬物も腎臓を通って尿として排泄されます。
腎臓で尿として排出されることで体への作用が無くなる薬剤を腎排泄型と呼びます。高齢者などでは腎臓の機能が弱っている為に腎排泄型の薬剤が中々排出されずに体に留まり続けることで副作用が起こることもある為、投与する量を減らしたりします。
副作用とは?
病気の治療に必要な作用を主作用とよび、副作用はそれ以外の作用や有害な作用の事を指します。
病気の予防や診断、治療に通常用いられる用量で起こる好ましくない反応のことを特に有害反応と呼びます。
副作用は、胃腸障害、腎障害、肝障害、アレルギー、眠気、のどの渇き、ふらつき、めまい、発疹などの様々な症状が起こり得ます。また、副作用には個人差があるため、いつもと様子が違うときは医師薬剤師に相談するようにしましょう。
副作用への対処法
副作用の症状がでたときは、どうしたら良いのでしょうか?
体調に少しでも異常を感じたら、自己判断で使用を止めるのではなく、速やかに医療機関で診察を受け医師や薬剤師に相談して今後の治療方針を決めるようにしましょう。
薬によっては、使用を中断することで、病状を悪化させる場合もあるため、注意が必要です。
副作用を防ぐためにも、飲む時間、間隔、量や飲みあわせ、生活上の注意点などについてもよく理解して、正しく薬を飲むようにすると良いかと思います。

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どんな薬にでも起こりうるアナフィラキシーとは?
アナフィラキシーとは薬による過敏症の一つで、まれですが、どの薬でも起こりうる副作用の一つです。
特に画像診断で用いられる造影剤、抗がん剤、解熱消炎鎮痛薬、抗菌薬、血液製剤、生物由来製品、卵や牛乳を含む医薬品(タンニン酸アルブミンなど)で見られる場合があります。
多くの場合は30分以内で、蕁麻疹(じんましん)などの皮膚症状や、腹痛や嘔吐などの消火器症状、そして息苦しさなどの呼吸器症状が現れます。また突然、顔面や体の蒼白、意識の混濁などのショック症状が現れることがあります。

副作用救済制度とは?
副作用救済制度(正式名称:医薬品副作用被害救済制度)は病院やクリニックなどの診療所において服用または処方せんにより処方された医薬品、およびドラッグストアなどで購入できる一般用医薬品(市販薬)を適正な目的、適正な用量用法で使用したにも関わらず、重篤な副作用を起こし、入院したり、後遺症が残ったり、死亡などの健康被害が起こった場合にその際にかかった費用などが給付されるというものです。
具体的な給付としては、下記になります。
入院の場合:医療費、障害児養育年金
障害が残った場合:障害年金、障害児養育年金
死亡した場合:遺族年金、遺族一時金、埋葬料
これらの給付を行う機関が”独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)”です。
以下に制度について詳しい情報が載っていますので、ご興味ある方は見てみると良いでしょう。
医薬品副作用被害救済制度
まとめ
薬には様々な種類があり、体に入ってからいくつかの過程を得て効果を表し、そして排出されていきます。
また、副作用についても100%起こらないとは限りません。副作用の起こる可能性を最小限に留めるにはキチンと用法用量を守ることが大事です。
アナフィラキシーなどの薬剤過敏症については、1度起こった場合はその薬剤を記録しておき、医師や薬剤師に見てもらい類似の薬剤で再び起さないように注意しましょう。

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