ミレニアル世代は完璧主義者が多い


研究を実施した英バース大学のThomas Curran氏らは「心も身体もキャリアも、何もかもが完璧でないと気が済まないという意識は精神衛生に悪影響を与える可能性がある」として警鐘を鳴らしている。
詳細は「Psychological Bulletin」2017年12月28日オンライン版に掲載された。
Curran氏らは今回、1980年代後半から2016年までに多面的な要素で構成された完璧主義の評価スケール(multidimensional perfectionism scale)の質問票に回答した米国とカナダ、英国の大学生4万1,641人のデータを分析した。
同スケールでは、自分の意思で自身に完璧さを求める「自己指向型」と、他者や社会から求められているとの考えから自身に完璧さを求める「社会規定型」、他者に対して完璧さを求める「他者指向型」の3つのタイプの完璧主義の特徴について評価された。
その結果、1989年から2016年までに全タイプで完璧主義者の割合が上昇しており、同期間に「自己指向型」は10%、「社会規定型」は33%、「他者指向型」は16%上昇していた。

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1980年代半ば以降に生まれ、2000年以降に成人となった世代は「ミレニアル世代」と呼ばれるが、この世代で完璧主義者が多い要因は複数あるとCurran氏は指摘する。
その一つとして同氏が挙げているのは、ソーシャルメディアの普及だ。
「今後さらなる検証は必要であるが、ソーシャルメディアは若者に他者と比べてより完璧でいなければならないというプレッシャーを与えていることを示唆するデータがある」と同氏は説明している。
また、Curran氏は多くの大学がより高い社会的地位あるいは経済的地位を得るために学生間での競争を促していることを指摘。ミレニアル世代では能力主義の考え方が広がっていることも、完璧主義者の増加につながっているのではないかと考察している。
「最近の若者は、成功しなくてはならないという周囲からのプレッシャーに応えるために常に競争を強いられている。
完璧主義でいることで自分の存在価値や社会的なつながりを感じ、安心感を得ることができるのだろう」と同氏は話している。
さらに同氏は、この10年に抑うつや不安、自殺念慮を持つ若者の割合が上昇したことに言及し、「この傾向には完璧主義者の増加が影響している可能性もある」と指摘。
学校関係者や政策立案者に対し、若者の精神衛生のために競争を促すアプローチからの転換を求めている。

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