流産は予防できる?流産の兆候や種類について

流産について
出来たばかりの小さな命。大切にして大きく育ってほしいですよね。そんなママ・パパの一番の心配事が流産です。

流産とは
流産とは、妊娠22週未満で妊娠が終了してしまうことを言います。
全妊娠の8~15パーセントを占めており、決してまれなことではありません。
妊娠12週未満での流産を「早期流産」
妊娠12週~22週未満での流産を「後期流産」
と分類しています。
ちなみに、妊娠22週以降では流産ではなく「早産」という言葉が使われます。
流産の種類と特徴
流産はその原因や進行具合によっていくつかの種類に分けられています。
その特徴を見ていきましょう。
自然流産と人工流産
まず、流産には大きく分けて「仕方なく起こるもの」と「意図的に起こさせる」ものに分けられます。
前者を「自然流産」、後者を「人工流産」と呼んでいます。
自然流産とは、赤ちゃんやお母さんの異常などが原因となって流産に至ってしまうもののことです。
自然流産はお母さんの年齢に比例して発生率が高くなっていきます。
人工流産とは、子宮外妊娠時の処置や人工妊娠中絶など、様々な理由によって意図的に流産を起こす場合を言います。

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完全流産と不全流産
妊娠中のお母さんの子宮の中には、赤ちゃん以外にも様々なものが収められています。
例えば、へその緒・羊水・胎盤です。
これらの全てが体の外に出てきてしまった状態が「完全流産」です。
一方、それらのどれかが子宮内に残っている場合を「不全流産」と呼んでいます。不全流産でも、赤ちゃん自体は残念ながらお腹の中で亡くなっているため、内容物の摘出を行う必要があります。
化学的流産
初期の流産の中で割合が高いのが、化学的流産です。
化学的流産とは、尿検査などで妊娠反応が陽性となっているにも関わらず、赤ちゃん自体の存在を確認できない場合を言います。
その中で、子宮外妊娠ではないことが判明した場合が、化学的流産であると判定されることになります。
そのほとんどは、赤ちゃん自体にもともと異常があったため自然に流産となってしまうケースです。
流産に特徴的な症状がみられることがなく、いつも通り生理が来たように感じられてしまいます。
化学的流産は、体外受精後にみられることが多いのが特徴です。
稽留流産
通常、お腹の中で赤ちゃんがなくなってしまうと、生理のように、体の外に出てくるのが一般的です。
しかし、何らかの理由でお腹の中に赤ちゃんが留まったままでいる事を「稽留流産(けいりゅうりゅうざん)」と言います。
稽留流産が認められた場合、子宮内に残っている赤ちゃんやへその緒、胎盤などを摘出する処置を行わなければなりません。
進行流産
流産が進行しており、妊娠を継続することが不可能になってしまっている状態が「進行流産」です。
赤ちゃんなどはまだお腹の中にとどまっていますが、子宮口が開いてしまい、出血量も増えていきます。
非常に残念ですが、進行流産に至ってしまうと、赤ちゃんとはお別れして早急な処置が必要になります。そうでないとお母さん自身の命に関わってくるためです。
感染流産
妊娠中に子宮内で感染症が起こった場合、赤ちゃんにも大きな影響を及ぼします。感染を放置したり、感染に気付かぬまま症状が拡大してしまうと、全身の血液が菌に侵される敗血症という状態にまで至ってしまう恐れがあります。
これは赤ちゃんだけでなくお母さんにとっても非常に危険な状態です。
原因は様々ですが、「不潔にしていたから」と一概に判断することはできません。
習慣流産
習慣流産とは、体質的に流産しやすい人のことを言います。
診断上の定義としては、「3回以上の自然流産を繰り返す」と、習慣流産であると判断されることになります。
習慣流産と診断されるということは、妊娠しても出産するのが難しい体質であるということになります。
しかし流産しやすい体質であるからと言って、今後は妊娠・出産が100パーセント望めないという意味ではありません。
切迫流産
切迫流産とは、流産しかかっているけれども、適切な対応をこなうことで、流産には至らず妊娠継続の可能性が残されている状態であることを言います。
異常にすぐに気付き緊急で受診することで、進行流産へと移行するのを食い止められる場合もあります。
流産の原因
流産が起こると、お母さんは「私が○○したせいだ」と自分を責めてしまう傾向にあります。しかし、流産が起こるのはすべてがお母さんが原因であるとは限りません。なかには、赤ちゃん側に理由があって、流産となってしまうケースもあるのです。
流産が起こる原因を知っておきましょう。
赤ちゃん側の要因
赤ちゃん側の原因として考えられるのはこのような要因です。
- 染色体の異常
- 胎盤やへその緒の異常
- 先天的な奇形などの異常
- 遺伝子の異常
- 血液型不適合(Rh型が合わない)
などです。
つまり、妊娠が成立した時点で赤ちゃんは元気に生まれてこられる状態ではなかったのです。
こればかりは誰のせいでもありません。
通常、そのような状態の受精卵では妊娠が成立することはありません。子宮に着床する力がないためです。
しかし、中にはお母さんのお腹にとどまることが出来た赤ちゃんもいます。その赤ちゃんはいろいろなタイミングを少し間違えてしまっただけなのです。
お母さん側の要因
お母さん側の原因にも、お母さんの注意によって防げるものとそうではないものがあります。
お母さんがどうすることもできない要因としては、こんなものが挙げられます。
- 子宮の奇形
- 自己免疫疾患
- 内分泌異常
- 染色体異常
これらは、お母さんの注意や努力で防げるものではありません。
一方、お母さん側で注意すれば防げるものにはこんなものがあります。
- 薬物
- アルコール
- 喫煙
- 過労
- 外傷(転倒転落など)
- 放射線被ばく(レントゲンなど)
お母さんが「自分は妊娠している(可能性がある)」と自覚し、赤ちゃんを守るために慎重に行動することで防げる可能性があるからです。
妊娠初期の流産はほとんどが赤ちゃん側の要因
妊娠初期に起こる流産は、ほとんどが赤ちゃん側の原因であると考えられています。
特に、流産の時期が早いほどその傾向が強いようです。
大切な赤ちゃんがいなくなってしまうことはとても残念なことではありますが、お母さんのお腹にちょっと早く来過ぎてしまったのかもしれません。

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流産の兆候
流産の原因が何であるにせよ、流産を示すサインは似通っています。
大きく二つの症状があり、それは「出血」と「腹痛」です。
出血
流産の兆候として見られる出血には以下のような特徴があります。
- 生理と同じような出血がおこる
- 生理よりも出血量が多く、期間も長い
- 最初はごく少量でも、徐々に出血量が増えていく
妊娠初期に出血がみられた場合、他には症状がなくても早急な受診をおすすめします。
腹痛
出血と並んで、腹痛も流産の兆候のひとつです。
流産の可能性が考えられるのはこんな場合です。
- 生理痛のような下腹部の痛み
- 徐々に痛みが強くなる
- ギューッと収縮するような痛み
- 生理痛よりも痛みの程度が強い

流産の予防
特に、妊娠初期に起こる早期流産の約8割は、赤ちゃん側が原因となって起こります。これはだれにも防ぐことはできません。悲しいことかもしれませんが、赤ちゃんはちょっと急ぎすぎてしまったのかもしれません。しっかり準備を整えてまたやってきてくれますから、お母さんもその間に心身の準備を整えておきましょう。
さて、お母さん側で起こってしまった流産では、次の妊娠で流産に至らないような環境を整えておくことが大切です。
- 筋腫や感染症などは治療する
- お酒やたばこなどをやめる
- ストレスや過労に注意する
お母さん側も、赤ちゃんを迎える準備を整えておくといいのかもしれませんね。

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