大切な赤ちゃんを流産させないためには?流産の種類や兆候

流産について

- 1.はじめに
- 2.流産の種類と特徴
- 3.流産の原因による分類
- 4.流産の進行具合による分類
- 5.赤ちゃんの状態による分類
- 6.流産が起きる時期
- 7.流産が起きる前の兆候
- 8.流産の兆候を示す出血
- 9.流産の兆候を示す腹痛
- 10.流産の予防
- 11.まとめ
はじめに
妊娠を待ち望んでいた女性にとって流産はとても恐ろしいものです。
せっかく赤ちゃんを授かったのであれば、きちんと安全に産みたいものです。
そのためにも、流産について正しい知識を持っておきましょう。
今回は流産の種類と特徴、起きる時期、起きる前の兆候、予防についてご紹介します。

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流産の種類と特徴
流産は、その原因や赤ちゃんの状態、進行具合などによって分類されています。
まずは、流産の種類について学びましょう。
流産の原因による分類
流産は、「仕方なく起こってしまったもの」と「意図的に起こすもの」とに分けることが出来ます。
前者は「自然流産」、後者は「人工流産」と呼ばれます。
人工流産には、「子宮外妊娠の処置」「母体保護などの理由による人工妊娠中絶」などが該当します。
流産の進行具合による分類
流産の進行具合によって、切迫流産と進行流産に分かれます。
<切迫流産>
流産しかかっている状態のことです。まだ妊娠継続の可能性が残されています。早急に適切な処置が必要です。
<進行流産>
流産が進行していて、もはや流産を食い止めることが出来なくなってしまった状態です。
赤ちゃんや胎盤はまだお腹の中にとどまっていますが、子宮口が開いており出血量も多いため、残念ながら妊娠の継続は不可能です。お母さんの命を最優先で処置を行う必要があります。
赤ちゃんの状態による分類
自然流産は、赤ちゃんがどのような状態にあるのかで、いくつかの種類に分けることが出来ます。
<完全流産と不全流産>
妊娠中のお母さんの子宮の中には、赤ちゃんのほかにも胎盤やへその緒なども存在しています。これらの全てが体の外に出てきてしまった状態が「完全流産」です。
それらのどれかが子宮内に残っている場合が「不全流産」です。
赤ちゃん自体は残念ながらお腹の中で亡くなっているため、子宮の中に残っているものを取り出す処置が必要になります。
<化学的流産>
初期の流産の中で割合が高いのが、化学的流産です。
尿検査などで妊娠反応が陽性となっているにも関わらず、赤ちゃん自体の存在を確認できず、子宮外妊娠でもない場合が化学的流産が考えられます。
化学的流産は、赤ちゃん自体に先天的な異常がある場合におこります。
<稽留流産(けいりゅうりゅうざん)>
お腹の中で赤ちゃんが亡くなってしまうと、生理のように、体の外に出てくるのが一般的です。しかし、何らかの理由でお腹の中に赤ちゃんが留まったままでいる場合があります。このような状態が稽留流産(けいりゅうりゅうざん)です。
子宮内に残っている赤ちゃんやへその緒、胎盤などを取り出す処置を行わなければなりません。
<感染流産>
妊娠中に子宮内で何らかの感染が起こった場合、流産となる場合があります。
感染が拡大してしまうと、全身の血液が菌に侵される敗血症という状態に至ることも少なくなく、赤ちゃんだけでなくお母さんの体も大変危険な状態です。

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流産が起きる時期
流産とは、妊娠22週未満で妊娠が終了してしまうことです。
妊娠22週以降に起こった場合は、流産ではなく早産と呼ばれます。
早期流産
妊娠12週未満での流産
後期流産
妊娠12週~22週未満での流産
流産は全妊娠の8~15パーセント程度にみられます。
なかでもほとんどを占めているのが早期流産です。
流産が起きる前の兆候
原因が何であれ、流産が起こっている可能性を示す症状があります。
それは出血と腹痛です。
これから紹介するような症状がみられた場合、できるだけ早く産婦人科を受診する必要があります。
流産の兆候を示す出血
妊娠中には微量の出血がみられることもあります。
流産が起こっている兆候を示す出血は、このような特徴を持っています。
・生理のように多量の出血
・下腹部痛も伴う
・血の塊が含まれる
・出血量がどんどん増えていく
このように、一時的な微量の出血ではない場合、流産が起きている可能性が高いです。
早急な受診が必要となります。
流産の兆候を示す腹痛
出血同様、下腹部痛も妊娠中にはよく見られる症状です。程度が軽く一時的なものは様子見でも大丈夫ですが、以下の場合は流産の兆候です。
・突然の激しい下腹部痛
・子宮をギューッと押されるような痛み
・生理痛よりもはるかに強い痛み
・出血を伴う痛み
・痛みがどんどん強くなっていく
このような場合、出血時と同様に早急な産婦人科を受診してください。

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流産の予防
流産してしまわぬよう、可能な限り対策を行いたいものです。
流産のリスクを下げることのできる具体的な方法を紹介します。
1.ヒールのない靴
ヒールの高い靴は足を細く長く見せてくれる効果があります。しかし、妊娠中は我慢してください。高くても3cm程度のヒールにしておきましょう。
高いヒールは重心が不安定になります。すると、転んだり、階段から落ちたりなどのリスクも高まります。
かかとが低く安定した靴を履くようにしましょう。
どうしてもヒールが必要な場面では、低い高さで、ヒールが太く安定しているものを選択してください。
2.腹圧をかける動作を避ける
妊娠初期はまだ胎盤が完成していません。つまり、赤ちゃんはまだまだお腹の中では不安定な状態にあります。
そんな時に腹圧が強くかかる動作を行うと、流産のリスクが上がります。
例えば、
・重いものを持つ
・便秘などで強くいきむ
・腹筋運動
などの動作には注意しましょう。
3.ストレスをためない
ストレスは万病のもと、とも言われます。それはストレスを感じると体全体の機能がベストな状態で維持されなくなってしまうことが原因です。
ある部分は機能が低下し、逆にある部分は過剰に働きます。
体全体のパフォーマンスに異常を起こさせるのがストレスです。
妊娠初期はつわりやホルモン変化などで心身ともに不安定になりがちです。意識してストレスを溜めないように努めてください。
4.体を冷やさない
女性にとって冷えは大敵です。妊娠中はなおさらです。
体が冷えると血液の流れが悪くなります。すると赤ちゃんに届けられる血液も減少してしまい、好ましくありません。
お母さんからの血液には酸素や栄養がたっぷりあります。それが十分届かなくなると、最悪の場合、流産という結果に至ってしまいます。
5.無理をしない
女性の社会進出によって、妊娠中でも仕事をしているケースも増えてきました。
「職場への妊娠報告は安定期に入ってから」と考えているお母さんも少なくはないのではないでしょうか?
妊娠初期は自己申告しない限り、周囲から妊娠を気付かれることはほとんどありません。つわりなどで体の状態が良くない時に、仕事で無理をしてしまうと赤ちゃんに良くない影響があります。
出来るだけ休息をとりましょう。
家事などはパパや周囲にも協力してもらい、家では可能な限り体を休めてください。
6.禁煙
妊娠前には喫煙をしていたお母さんもいるかもしれません。しかし、妊娠が判明したら可能な限り早く禁煙に取り組みましょう。
たばこの中には有害物質がたくさん含まれています。主成分であるニコチンには血管を収縮させる作用があり、赤ちゃんへの血流が阻害されてしまいます。
禁煙はお母さんだけの問題ではありません。お母さん自身がたばこを吸っていないとしても、副流煙による間接的な喫煙は、お母さんがたばこを吸っているのと何ら変わりません。
周囲にも協力してもらい、最低でも分煙はきっちり行ってください。
7.禁酒
たばこと同様に昔から言われているのがアルコールです。
アルコールは胎盤を通過して直接赤ちゃんに届いてしまいます。お母さんがお酒を飲むと、赤ちゃんも一緒に飲酒していることになります。
最悪、赤ちゃんが急性アルコール中毒のような状態にさらされます。
また、飲酒が続くと「胎児性アルコール症候群」という先天性疾患を抱えた状態で生まれてくる可能性もあります。
8.医療機関にかかるときは注意
妊娠の可能性が考えられる場合、医療機関にかかる際は必ずその旨を伝えてください。
医師は妊娠に関する全ての知識を十分に持っているとは限りません。

また、レントゲンやCTなどをとる必要がある場合も、必ず妊娠の可能性を伝えます。大人にとっては無害な量の放射線であったとしても、赤ちゃんにとっては害になる場合もあります。
9.切迫流産と診断されたらとにかく安静に
流産の兆候にいち早く気付き、何とか進行を食い止めることが出来ている状態を切迫流産と言います。
ですがこの状態は「まだ流産に至っていない」だけで、いつ状態が悪化するかわかりません。
切迫流産の第一の治療法は安静です。安静とは「トイレ・入浴」以外はすべてベッド上で過ごすということ。家事も仕事もNGです。
まとめ
今回は流産の種類と特徴、起きる時期、起きる前の兆候、予防についてご紹介しました。
流産は様々な原因によって起こりますが、ちょっとしたことを気をつけるだけで起こる確率を下げることができます。ただし、化学的流産のように母体の努力ではどうにもならないものもあります。
流産を防ぐためにも、頑張りすぎないようにしましょう。そして周囲の方も、妊娠している女性に気を使い、無理をさせないようにしてください。

治験・臨床試験は新しいお薬の開発に欠かせません。治験や疾患啓発の活動を通じてより多くの方に治験の理解を深めて頂く事を目指しています。治験について知る事で治験がより身近なものになるはずです。
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