フレイルを伴う糖尿病患者で死亡や入院リスク上昇か メタ解析

糖尿病患者は、フレイルを伴うと死亡や入院するリスクが高まる可能性があることが、伊勢赤十字病院(三重県)糖尿病・代謝内科副部長の井田諭氏らが実施したメタ解析で示された。研究の詳細は「Cardiovascular Diabetology」6月18日オンライン版に掲載された。

 糖尿病患者では、高血圧や脂質異常症、喫煙習慣といった従来のリスク因子があると死亡や心血管疾患(CVD)の発症につながるとされるが、フレイルに起因するケースも多いことが報告されている。井田氏らは、糖尿病患者のフレイルと死亡や入院、CVD発症との関連を検討することは医療経済学の観点からも重要とし、これらの関連を包括的に分析するため、システマティックレビューとメタ解析を実施した。

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 研究では、MEDLINEやコクランデータベースなどを用い、2018年12月までに公表された、糖尿病患者のフレイルと死亡や入院、CVD発症との関連を調べた論文のシステマティックレビューを実施。基準を満たした8件の研究を対象にメタ解析を行った。8件のうち1件は横断研究で、残り7件は縦断研究であった。解析対象は計56万5,039人で、平均年齢は68歳であり、53%が女性だった。

 解析の結果、糖尿病患者がフレイル予備軍(プレフレイル)およびフレイルであると、死亡リスクはそれぞれ1.09倍、1.35倍であることが分かった(いずれもP=0.02)。また、フレイル予備軍およびフレイルであると入院リスクも高まることが示された(オッズ比はそれぞれ2.15、5.18、P値はそれぞれ0.003、<0.001)。一方、フレイルとCVD発症との間には有意な関連はみられたものの、1件の研究に限られていたため、結論には至らなかった。

 これらの結果を踏まえ、井田氏らは「糖尿病患者は、フレイル予備軍やフレイルであると死亡や入院のリスクが有意に高まる可能性が示された」と結論。一方で、CVD発症との関連を検討した研究が1件に限られていることなど研究には限界点もあることから、「今後さらなる検証が必要だ」としている。

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HealthDay News 2019年7月16日
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