マイコプラズマ肺炎に負けないための予防と対処法

- 1. はじめに
- 2. マイコプラズマ肺炎ってどんな敵?
- 3. マイコプラズマのルーツを知ろう!
- 4. マイコプラズマ肺炎はいつ侵入するのか
- 5. マイコプラズマ肺炎を発症しやすい人は意外な年層
- 6. マイコプラズマ肺炎に使われる治療薬
- 7. まとめ
はじめに
体力、免疫力が無い人にとっては、感染症が流行る時期はつらいかと思います。冬は特に学校や保育園の閉鎖が生じ、自分の子供が心配になる方もいるのではないでしょうか?
しかし、マイコプラズマ肺炎は、子供たちだけの感染症ではありません。
元気な若い世代の人たちにも矛先が向く感染症なのです。
そんなマイコプラズマ肺炎の詳しい情報を得て、子供にとっても、ご自身にとっても、しっかりと対策予防しましょう。予防は治療の一つです。
マイコプラズマ肺炎ってどんな敵?
原因となるのは細菌?ウイルス?
肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)という細菌が体内に入って肺炎の症状を起こします。
通常に良く知られる肺炎球菌による感染症状と違っており異型扱いされていました。
聴診器を使って肺音を聞くと、通常は痰がたまった音(ゼーゼー、ゼロゼロ)が聞かれます。
しかしマイコプラズマ肺炎の場合は、特徴的な音が聞こえません。
理由は、肺の中でも炎症が起きる場所が異なるからです。
12歳以下の小児や若者に多く、一度感染して治癒しても再度感染することもあります。
どんな症状?
マイコプラズマ肺炎は、下記のような症状を起こします。
- 発熱(※2~3日で下がりますが、中には1週間かかるケースもあります)
- 全身倦怠感
- 頭痛
- 痰の混じらない乾いた咳から痰混じりの咳に変化
- 下痢が見られることもある
- 咳がひどくなると耳痛や胸痛
合併症は?
- たいていはマイコプラズマ肺炎の症状だけで治癒しますが、病原菌が肺以外の臓器まで侵してしまうと他の器官で炎症が起きます。
(心筋炎、関節炎、中耳炎、副鼻腔炎、無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎、膵炎) - 気管支喘息を患っている人は、マイコプラズマ肺炎の病原菌の刺激がきっかけとなって、喘息発作を引き起こすこともあるので、気管支喘息で治療したことがある方は注意が必要です。

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マイコプラズマのルーツを知ろう!
感染ルートは接触感染と飛沫感染の二つです。
マイコプラズマの病原体は、熱にも弱く感染力は比較的弱い方です。
従って、感染が起きる環境は、接触の度合いが濃厚であってこそ感染するというもので、幼稚園や学校、施設などの集団で活閉鎖的な場所で感染拡大することが多いようです。
接触感染とは、病原菌が何か物体に接着しているところに直接触れ、その触れた手や足を口や鼻に持っていくことで感染するのが接触感染です。
飛沫感染とは、咳やくしゃみで病原体が空気中に飛び、これを吸い込んだために感染するのが飛沫感染です。飛沫は通常2メートル以上も飛ぶと言われるので、感染が拡大する場合もあります。
マイコプラズマ肺炎はいつ侵入するのか
潜伏期間とは
病原菌は体内に侵入して増殖します。増殖した細菌は自分たちが過ごしやすい場所を選んで移動しますが、このために症状として色々な苦痛が出てきます。
この侵入から、症状が出るまでの期間を潜伏期間と言います。
マイコプラズマ肺炎が人から人にうつる期間は?
マイコプラズマ肺炎は一年中感染する可能性がありますが、冬から早春にかけて感染者が多くなります。
マイコプラズマは菌としては感染力が弱いのに、拡大する理由は潜伏期間にあります。
人から人に感染する期間は「潜伏期間+症状が出ているとき」です。
両方の期間に感染力がありますので、症状が出ていなくても菌を持っている人の側に行くと、感染する可能性があるということになります。
潜伏期間は2~3週間。発症して治癒するまでが1~2週間、これらを合わせると1か月以上も感染に気を付けなければいけません。
マイコプラズマ肺炎を発症しやすい人は意外な年層
肺炎は通常子供や高齢者などの抵抗力の少ない人に発症する病気ですが、マイコプラズマ肺炎は、小児はもとより、若くて比較的健康で普通に仕事もできている人に多く見られます。
その理由は、若者は異物侵入に対して、免疫機能が活発であるため駆除する力も強く、その分炎症も大きくなってしまいます。すると肺炎の程度も重症化してしまいます。

マイコプラズマ肺炎にならないために、下記を注意して予防しましょう。
- 感染している人との接触はなるべく避ける
- 外出から帰ったら手洗いとうがいの徹底
- 外出はマスクをつける
- 感染症の流行時期は、できるだけ人ごみを避ける
- しっかりと栄養バランスのある食事を摂り基礎体力を低下させない
- 疲れやストレスをためないように免疫力を上げる
マイコプラズマ肺炎に使われる治療薬
マイコプラズマ肺炎には抗生物質による治療です。
特効薬としてマクロライド系の抗生物質(リカマイシン、クラリス、クラリシッドなど)が使用されていましたが、マクロライド系をもって治療し過ぎてしまったのか、病原菌の耐性が強くなってしまって、これらが効果を示さなくなってきました。
最近では、テトラサイクリン系の抗生物質(ミノマイシンなど)や抗生物質ではないニューキノロン系の抗菌薬が使用されてきています。
まとめ
冬はインフルエンザや食中毒などの感染症が多くなります。
感染症には潜伏期間という目に見えないが感染能力はしっかり生きている時間もあり、予防しきれない部分もあります。
しかし、どんな人にも免疫機能というものがあり、身体を外敵から守ってくれます。
この機能をしっかり鍛えることと、病原菌を体内に入れないようにする手洗いなどのケアは、普段から行っておくことが感染の有無を左右します。
重症になる前に、まずは見えない敵を防御をすることが大切です。

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