米FDA、たばこのニコチン量の規制を検討

米食品医薬品局(FDA)は、たばこのニコチン含有量を依存性の生じないレベルまで減らす方針を発表した。また、ニコチンパッチやニコチンガムなどのニコチンを含有する禁煙補助薬の安全性を高める取り組みを進めていくことも明らかにした。一方で、昨年発表したシガー(葉巻)と電子たばこの規制についてはそれぞれ2021年、2022年まで施行を延期する。この延期についてFDA長官のScott Gottlieb氏は「十分な時間をかけて規制基準の妥当性を検証するためだ」と説明している。
FDAの新たな方針は、「若者の気を引く」フレーバーに対する規制も必要との見解を示している。米ノースウェル・ヘルスたばこ規制センターのPatricia Folan氏は、FDAがティーンの喫煙に注目したことを称賛し、「メントールなどのフレーバーがもたらす害に対処することは若者の喫煙を減らす重要な一歩だ」と述べている。FDAは「喫煙者の多くは10歳代で喫煙を始めていることが過去の研究で分かっており、その最初の段階で阻止したい」としている。
一方、FDAが電子たばことシガーに関する規制措置の施行を延期したことについて、米国肺協会(ALA)のErika Sward氏は「若者に対し有害な影響をもたらす」と警鐘を鳴らしている。これに対しGottlieb氏は「FDAの方針で最も重要な点は、紙巻きたばこのニコチン量を減らす規制を進めることだ」と述べ、「たばこの依存性をなくせば、喫煙者を紙巻きたばこから害の少ない製品へと移行させるためにバランスのとれたアプローチを取ることができる」と説明している。

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若者の喫煙阻止キャンペーン(Campaign for Tobacco-Free Kids)代表のMatt Myers氏は、FDAの方針は革新的だが、失速する可能性があると懸念する。「Gottlieb氏の構想は、喫煙による死亡や疾患を低減するためにこれまでFDAが取ってきたアプローチの中では最も包括的なものだ。しかし、実際にたばこ業界に低ニコチンたばこを作らせるまでには長い期間がかかるだろう。低ニコチンたばこに認められている問題(本数が増える、深く吸い込むようになるなど)も考慮しなくてはならない」と同氏は指摘する。
FDAは、電子たばこやニコチンガムなどのニコチン含有製品の安全性を高める方法を明らかにしていきたいとの考えを示している。FDAたばこ製品センターのMitch Zeller氏は「新たな技術がもたらすベネフィットと潜在的なリスクを徹底的に追究する必要がある。その研究結果は、疾患や死亡の主原因となっている紙巻きたばこの対策にも反映されるだろう」と述べている。

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