痛み止め+胃薬で急性腎障害のリスクが増加――京大など

 鎮痛薬の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)と、プロトンポンプ阻害薬(PPI)という胃薬を併用すると、腎機能が急激に低下する「急性腎障害(AKI)」のリスクが大きく上昇することを示唆するデータが報告された。京都大学医学部附属病院薬剤部の中川俊作氏、昭和大学病院薬剤部の百賢二氏らの研究によるもので、「BMJ Open」に2月15日掲載された。

 NSAIDとPPIはどちらも広く使われており、併用もされやすい薬。例えば、NSAIDでは胃が荒れやすいため、それを抑える目的でPPIが処方されることも少なくない。これまでにも、これらの薬によるAKIリスク上昇を懸念する指摘はあったが、両者を併用した場合に、どの程度リスクが高まるのかについては、よく分かっていなかった。

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 中川氏らは、健康保険の医療費請求データベースを用いたコホート内症例対照研究により、NSAIDとPPI、および、やはり処方機会の多い代表的な抗菌薬の使用によるAKIリスクを検討した。解析に際して、PPI使用開始から30日以内に腎機能低下のリスクが高いとの既報に基づき、PPIが処方されていた時期により、新規処方症例(処方開始30日以内の患者)、最近の処方症例(過去31~90日に処方されていた患者)、過去の処方症例(91日以前に処方されていた患者)の3群に分類して、リスクを比較した。

 PPI処方歴があった患者から、過去に腎疾患の既往がある人、および尿路感染症や造影剤使用により腎機能が低下していた人を除外し、21万9,082人(年齢45±13歳、女性44%)を解析対象とした。平均2.4±1.7年の追跡期間中に317人がAKIを発症。1万人年当たりのAKI粗発症率は6.1であり、PPI新規処方症例では18.8、最近の処方症例では5.3、過去の処方症例では3.7だった。

 AKIを発症しなかった群から、年齢、性別、追跡期間を一致させた対照群を、AKI発症群に対し1:10の比率で割付け、3,150人を抽出。多変量解析にて、腎毒性のある薬剤(日本腎臓学会のガイドラインに記されている薬剤)の使用、およびチャールソン併存疾患指数などで調整の上、PPIの過去の処方に対する新規処方のAKI発症オッズ比(OR)を求めると、2.79(95%信頼区間2.06~3.79)となり、既報と同様にPPI新規処方時はAKIリスクが有意に高い可能性が示された(最近の処方は非有意)。

 また、PPIとNSAIDを併用した場合のAKI発症率は、NSAIDを使用していない場合に比べてOR3.12(同1.84~5.37)と、発症率が3倍以上に上昇することが分かった。PPIを抗菌薬と併用した場合は、フルオロキノロン(OR2.35、同1.12~4.95)やセファロスポリン(OR1.88、同1.02~3.47)の併用時に、AKI発症率が有意に高かった。なお、ペニシリン併用は有意な影響がなく、マクロライド併用ではOR0.47(同0.21~0.96)だった。

 以上の結果から著者らは、「NSAIDとPPIを併用するとAKIのリスクが大幅に増加するため、両剤併用時には腎機能に注意する必要がある。また、フルオロキノロンやセファロスポリンとPPIの併用も、AKIリスクの増加と関連していることが示唆された。これらの関連性の確認のための追試と、生物学的メカニズムの研究が求められる」と結論付けている。

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HealthDay News 2021年3月8日
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