オバマケア、がんの早期発見に貢献

オバマ政権下で施行された医療保険制度改革法(ACA)、通称オバマケアによって早期に発見されるがんが増え、多数の命が救われた可能性を示唆する研究結果が「American Journal of Public Health」2017年12月21日オンライン版に掲載された。

2014年までにオバマケアの柱の一つであるメディケイド(低所得者向け公的医療保険)の加入資格の拡大を実施した州では、拡大を拒否した州と比べて早期に診断されるがんが増加したことが分かったという。

この研究を実施したのは米インディアナ大学経営学部のAparna Soni氏ら。
メディケイド拡大は無保険者を減らすことを主な目的としたオバマケアの柱の一つとして位置付けられていたが、実施するか否かの判断は州政府に委ねられていた。
Soni氏らは今回の研究でメディケイド拡大が生産年齢人口のがん診断率にどのように影響したのかについて検討した。

研究では2010~2014年のがん登録データを用いて13州611郡の生産年齢人口(19~64歳)の郡レベルでのがん診断率を推定し、メディケイド拡大を実施した州と拒否した州との間でその変化率を比較した。
なお、このうち9州が2014年までにメディケイド拡大を実施していた。

その結果、メディケイド拡大によって全体的ながんの診断率が3.4%上昇したことが分かった。
これは、人口10万人当たりのがん診断数が13.8件増加したことに相当するという。

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また、早期がんのみに限定すると診断件数の増加はより顕著で、メディケイド拡大によって診断率は6.4%上昇(人口10万人当たりのがん診断数15.4件の増加に相当)したことが明らかになった。
なかでも35~54歳での乳がんや大腸がんといった早期に発見しやすいがんの診断数が増加したことが、早期がんの診断率を押し上げる要因となっていた。

Soni氏は「早期の段階でがんを発見できれば治療が成功する可能性は高まり、がんによる死亡率の低減につながることは既に立証されている」と説明。
メディケイド拡大は低所得者層の医療サービスの利用率を高めるために実施されたが、それによって早期に発見されるがんが増え、がんによる死亡を減らせる可能性があるとの見方を示している。

また、同氏は「がんは診断が遅れるほど治療費が高くなりやすいため、長期的には医療費の削減にもオバマケアが寄与する可能性がある」としている。

米国では12月20日、無保険者に対する医療保険への加入義務の撤廃などを含むオバマケアの一部改廃を盛り込んだ税制改革法案が可決された。
ただ、この時点ではメディケイドの縮小は決まっていない。

米国がん協会(ACS)のAhmedin Jemal氏は「(Soni氏らの研究は)オバマケアが縮小され医療保険を失う人が増えれば、がんの発見が遅れる可能性があることを示したものだ」とコメントしている。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2017年12月21日
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