介入終了から1年後の糖質制限の効果は? 肥満合併2型糖尿病患者で検討、順天堂大

順天堂大学医学部附属静岡病院糖尿病・内分泌内科の佐藤淳子氏らは、以前の研究で、血糖コントロールが不良で肥満を合併した日本人の2型糖尿病患者では、6カ月間の糖質調整食(130g/日以下)はエネルギーコントロール食に比べてHbA1c値とBMIを有意に低下させることを確認している。

同氏らは今回、糖質調整食による介入終了後には糖質の摂取量が増えたにもかかわらず、その効果は1年後も維持されていたとする研究結果を「PLOS ONE」12月4日オンライン版に発表した。
ただし、ベースライン時から18カ月後には、糖質調整食とカロリー制限でHbA1c値とBMIの低減効果に差はみられなかったことから、いずれの方法であっても適切な指導を行うことで有効な食事療法になり得るとしている。

佐藤氏らは、2013年9月~2014年11月に、血糖コントロールが不良(HbA1c値7.5%超が3カ月以上)で肥満(BMI 23kg/m2超)を合併した2型糖尿病患者66人を対象に、糖質の摂取量を1日130gまでに制限する糖質調整食群(33人)とカロリー制限群(33人)にランダムに割り付けて6カ月間観察するランダム化比較試験を実施した。

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その結果、カロリー制限群と比べて糖質調整食群では6カ月後のHbA1c値(-0.65%対0.00%、P<0.01)とBMI(-0.58kg/m2対-0.22kg/m2、P=0.03)が有意に低下したことが明らかにされ、カロリー制限の遵守が難しい2型糖尿病患者では130g/日以下の糖質調整食は短期的には有効な食事療法である可能性があると報告している(Clinical Nutrition 2017; 36: 992-1000)。

佐藤氏らは今回、6カ月間の糖質調整による介入終了後もその効果が持続するのか否かを明らかにするため、糖質調整食群とカロリー制限群をさらに1年間追跡し、ベースライン時から18カ月後のHbA1c値とBMIの変化量を比較検討した。

介入試験を終了した計62人(糖質調整食群32人、カロリー制限群30人)のうち計49人(各群22人、27人)が18カ月後までの追跡を完了した。
その結果、ベースライン時から18カ月後の炭水化物の平均摂取量は糖質調整食群が214g/日(176~262g/日)、カロリー制限群が215g/日(189~243g/日)と両群間で差はみられなくなった。
また、同期間中、両群間でトリグリセライド(TG)やHDL-コレステロール、LDL-コレステロール(LDL-C)、血清クレアチニンの値に有意な差はみられなかった。

さらに、ベースライン時から18カ月後には糖質調整食群ではHbA1c値が0.35%、BMIは0.77kg/m2低下し、カロリー制限群ではそれぞれ0.4%、0.63kg/m2低下していたが、両群間で有意差は認められなかった。
これら2つの群をまとめて解析したところ、ベースライン時から18カ月後には体重やBMI、HbA1c、LDL-Cの値が有意に低下していることも分かった。
全体として、エネルギー摂取量や炭水化物の摂取量には大きな変化はみられなかったが、エネルギー全体に占める脂質や炭水化物、飽和脂肪酸の割合が低下傾向にあった。

以上の結果から、佐藤氏らは「糖質の制限による血糖値やBMIの抑制は介入終了後も維持されるが、その効果はカロリー制限と同様である可能性がある。
糖質制限でもカロリー制限でもうまく内容が構成され、個別化されたプログラムであれば、いずれも血糖値やBMIの低下に有効だと考えられる」と述べている。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2017年12月25日
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