酸化ストレスの新規バイオマーカー「酸化メチオニン」――北里大

必須アミノ酸の1つ「メチオニン」が、全身の酸化ストレスや血糖変動の指標になる可能性が報告された。酸化ストレスを定量的に評価でき、かつ、連続血糖測定(CGM)で把握された血糖変動性と有意に相関するという。北里大学医学部内分泌代謝内科学の七里眞義氏らの研究によるもので、「Scientific Reports」1月14日オンライン版に掲載された。

 酸化ストレスは体の防御機構以上の活性酸素が産生されている状態をさし、老化現象に加え糖尿病やがんなどの発症・進行に関係することが、これまでの研究で示されている。しかし酸化ストレスの強さを測定する、定量的かつ再現性の高い手法は確立されていない。七里氏らは、血中アルブミンの分子構造の147番目に位置しているメチオニン残基(Met147)が、酸化ストレスに対し素早く反応することに着目し研究を続けている。

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 今回の研究ではまず、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)という手法を用いて、Met147に占める酸化されたメチオニン残基(酸化Met147)の割合を定量的に測定、その再現性を検討した。検体の希釈度を変えたり、保存状態を変えたりするなど、さまざまな条件設定で繰り返し測定。その結果から、LC/MSによるメチオニン残基の酸化レベル測定の信頼性は、同氏らが以前に開発した方法に比べはるかに高精度で、再現性が高く実用的なレベルであることが確認された。

 次にこの手法を用いて、糖尿病患者124人(年齢54.3±13.9歳、1型糖尿病54人、BMI25.9±6.4、HbA1c9.0±2.4%)と、健康なボランティア40人(53.2±16.4歳、BMI22.5±2.8)の酸化Met147を測定した。すると糖尿病群は対照群に比べて酸化Met147が有意に高く、酸化ストレスが亢進していることがわかった。

 糖尿病群において酸化Met147と相関する因子として、多変量解析により、eGFR、総ビリルビン、HDL-C、およびグリコアルブミン(GA)とHbA1cの比(GA/HbA1c比)が抽出された。なお、平均血糖値を反映するHbA1cやGAは、それぞれ単独では単変量解析においても酸化Met147との相関が認められなかった。

 GA/HbA1c比の高さは血糖変動を反映することから、前記の対象者中の35人(糖尿病患者28人、健常者7人)にCGMを施行し、血糖変動と酸化Met147の関連を検討。すると、酸化Met147は、血糖値の標準偏差、変動係数、血糖値70mg/dL未満の時間が占める割合、140mg/dL以上の時間が占める割合と、それぞれ有意に正相関した。また血糖値が70~140mg/dL内の時間が占める割合とは有意な負の相関がみられた。その一方で、血糖値の平均値とは相関がなかった。

 続いて血糖変動を抑制する作用のあるSGLT2阻害薬の影響を、2型糖尿病患者18人を対象に検討したところ、同薬投与前に比べ投与開始28日後の酸化Met147は有意に低下していた。

 これらの結果から研究グループでは、「LC/MSによって定量的に測定した血清アルブミンMet147に占める酸化Met147の割合は、ヒトの血管内の酸化ストレスの影響を評価する上で十分な信頼性があり、かつ感度も優れている」と述べている。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2020年1月27日
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