メタボ解消のポイントは「休日の座位時間」を減らすこと

 メタボリックシンドローム(MetS)を防ぐには、身体活動を増やすことが大切だが、特に休日の座位時間(座っている時間)を減らすことが重要である可能性が報告された。労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所の蘇リナ氏らの研究によるもので、詳細は「International Journal of Environmental Research and Public Health」5月30日オンライン版に掲載された。

 身体活動量が少ないことがMetSのリスクと関連することを示した報告は多いが、それらの多くはテレビやインターネットの視聴時間など、日常生活の一部分のみに焦点を当てており、生活のリズム全体を考慮した研究は少ない。そこで蘇氏らは、平日の仕事中の座位時間、平日の仕事以外の座位時間、および休日の座位時間と、三つの場面に細分化し、MetSリスクとの関連を検討した。

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 調査手法として、インターネットによる回答者の自記式アンケートを用いた。2018年1~7月に寄せられた1万件の回答から、内容に不備があるものなどを除いた5,530人分を解析対象とした。座位時間は、「労働者生活行動時間調査票」を用い、就寝、起床、外出、職場への到着、帰宅などの時刻の詳細な記述に基づいて、できるだけ正確に把握した。対象者の平均年齢は44.4±11.1歳、男性が70.0%を占め、MetS該当者数は432人(7.8%)だった。

 座位時間を三分位で3群に分類し、年齢、性別、喫煙・飲酒習慣、勤務形態(シフト勤務か否か)で調整後に、MetSリスクとの関連を検討。すると、休日の座位時間の第3三分位群(最も座位時間が長い群)でMetSリスクが有意に上昇し〔オッズ比(OR)1.43、95%信頼区間1.12~1.83〕、休日の座位時間が長いほどMetSリスクが高いことが明らかになった(傾向性P<0.001)。一方、平日の仕事中の座位時間(傾向性P=0.969)や、平日の仕事以外の座位時間(傾向性P=0.259)とMetSリスクには有意な関連がなかった。

 また、日常的な運動習慣のある人(厚生労働省の定義による、1回30分以上の運動を週2回以上行い1年以上継続している人)に比べ、そうでない人はMetSリスクが有意に高かった(OR1.44、1.15~1.80)。

 日常的な運動習慣があり、休日の座位時間の第1三分位群(最も座位時間が短い群)を基準として、他の群のMetSリスクを検討すると、運動習慣のない人では休日の座位時間第3三分位群(OR1.84、1.30~2.59)だけでなく、第2三分位群(座位時間が中程度)でも、有意なリスク上昇(OR1.49、1.03~2.14)が認められた。平日の仕事中の座位時間や仕事以外の座位時間は、運動習慣の有無にかかわらず、MetSリスクとの有意な関連は認められなかった。

 これらの結果を基に研究グループでは、「特に休日の座位時間の長さがMetSのリスクを増大させる可能性がある」とまとめるとともに、保健指導などに際しては総座位時間のみで評価すると、MetSとの関連が明瞭でなくなることに留意を促している。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2020年7月27日
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