閉経後女性の血圧と糖脂質代謝改善に「カカオポリフェノール」が有効か 東京医大の研究グループ

閉経後の日本人女性は、カカオポリフェノールを継続して摂取すると血圧とLDL-コレステロール(LDL-C)値が有意に低下するほか、インスリン抵抗性が改善する可能性があることが、東京医科大学循環器内科の椎名一紀氏らが実施したランダム化クロスオーバー試験で明らかになった。一方、この試験においては、カカオポリフェノールの効果には男女差がみられ、男性ではこうした効果はみられなかったという。詳細は「Hypertension Research」1月17日オンライン版に掲載された。
椎名氏らは今回、糖尿病前症の45~69歳の男女22人(うち男性13人)を対象に、カカオポリフェノール抽出物の摂取による血圧や糖脂質代謝指標への影響を検討するため、プラセボ対照二重盲検デザインのランダム化クロスオーバー比較試験を実施した。

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参加者を、まず、カカオポリフェノール抽出物を含有するタブレットを摂取する群またはカカオポリフェノールを含まないタブレットを摂取する群にランダムに割り付けて、4週間継続摂取してもらった。次に、タブレットを摂取しない2週間の間隔を空けた上で、カカオポリフェノール含有群と非含有群を入れ替えて、同様に4週間継続摂取してもらい、タブレットを摂取する前後の血圧と糖脂質代謝指標〔空腹時血糖値、インスリン値、インスリン抵抗性(HOMA-IR)、LDL-C値〕の変化を比較検討した。
その結果、参加者全体の解析では、血圧と糖脂質代謝の指標に、カカオポリフェノール抽出物の摂取の有無で有意な差は認められなかった。一方、閉経後女性に限定して解析した結果、カカオポリフェノールの摂取後には、摂取前に比べてインスリン抵抗性が改善する傾向が認められた。また、こうした女性では、カカオポリフェノール摂取後に、最高血圧と最低血圧およびLDL-C値が摂取前よりも有意に低下することも明らかになった。
なお、このタブレットは、2014年に愛知県蒲郡市と愛知学院大学、株式会社 明治が実施した臨床試験を参考にして、カカオ分が70%以上の高カカオチョコレート25 gと同等になるカカオポリフェノールの主要成分を含むように調製した。
以上の結果から、椎名氏らは「カカオポリフェノールの継続摂取は、閉経後女性における糖代謝を改善する可能性があるほか、血圧と悪玉コレステロールの改善効果が認められた」と結論づけている。

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