外来受診時の食後高血糖はがん死亡の予測因子か 日本人2型糖尿病患者を対象に分析

外来受診時の食後2時間血糖値による食後高血糖は、HbA1c値とは関係なく、2型糖尿病患者の全死亡およびがん死亡の予測因子である可能性があることが、朝日生命成人病研究所(東京都)の高尾淑子氏らの研究グループの検討で分かった。詳細は「Diabetes Research and Clinical Practice」2月号に掲載された。
これまでの研究で、食後高血糖は全死亡率および心血管死亡率、CVDの発症率の上昇や糖尿病網膜症の進行と関連する可能性が報告されている。また、高尾氏らが2型糖尿病を対象に実施した以前の観察研究では、食後高血糖はCVD発症率および全死亡率の上昇と関連することが示唆されている。一方、2型糖尿病患者を対象に、食後高血糖とがんによる死亡との関連を調べた疫学研究はほとんどなかった。

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高尾氏らは今回、日本人の2型糖尿病患者の実臨床データを用いた後ろ向きのコホート研究を実施し、外来受診時の食後高血糖がHbA1c値とは無関係に、全死亡およびがんによる死亡と関連するか否かを検討した。また、死亡時の年齢についても調査した。
研究では、1995~1998年に同研究所附属病院を初めて受診し、その後1年以上継続して受診した2型糖尿病患者1,582人を対象に、2017年まで追跡を実施した。対象者のうち、初診から1年以内に朝食後の2時間血糖値を測定した患者は926人であった。また、初診から3年以内に食後2時間血糖値を1回以上測定した患者は1,088人であった。
中央値で19.4年の追跡期間中に、計233人の患者が死亡した。死亡時の平均年齢は、男性が75.6±10.5歳、女性が80.8±8.5歳であった。また、食後2時間血糖値を測定した926人の患者のうち139人が死亡し、そのうち46人はがんによる死亡であった。同様に、1,088人中169人が死亡し、そのうち57人ががんにより死亡した。
多変量Cox回帰分析の結果、初診から1年以内に測定した初回の食後2時間血糖値と、初診から3年以内に測定した食後2時間血糖値の平均値はいずれも、HbA1c値とは無関係に、全死亡およびがんによる死亡の有意な予測因子であることが分かった。
以上の結果から、高尾氏らは「外来受診時の食後高血糖は、HbA1c値とは独立して2型糖尿病患者の全死亡およびがんによる死亡と関連する可能性がある。また、2型糖尿病患者の死亡年齢は、糖尿病のない人に近づいてきている可能性も示された」と結論。ただし、この研究は小規模な観察研究であるため、確証を得るには今後さらなる研究を重ねる必要があると付け加えている。

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