糖尿病性腎症重症化予防で医療費も削減される――呉市からの報告

 糖尿病性腎症の「疾病管理(ディジーズ・マネジメント)」には、重症化予防効果に加え医療コスト削減効果もあることが分かった。全国に先駆け公的保険制度の下で、糖尿病性腎症へのシステマティックな適正介入を進めてきた広島県呉市のデータを、成城大学経済学部の河口洋行氏らが解析した結果で、詳細は「BMC Health Services Research」5月11日オンライン版に掲載された。

 疾病管理による糖尿病の医療コスト削減効果については、英国および米国から1例ずつ報告がある。ただし医療費削減に寄与する詳しい経路は明らかにされていない。理論的には、介入によって医療サービスの不足や重複が整理される「整理効果」、および、良好な管理により疾患の進行が抑制される「健康改善効果」を介してその後に発生する医療費が抑制されるという二つのメカニズムが考えられる。河口氏らは、この二つの効果を別々に把握できる分析手法を採用して定量的な評価を試みた。

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 分析に用いたのは2010~13年度の呉市の医療費請求データ。重症度ステージ3以上の糖尿病性腎症を対象とする重症化予防管理プログラムに参加した患者172人と、参加しなかった患者2,684人、計2,856人の医療費を、介入前の6カ月間、介入中の6カ月間、介入後の6カ月間という三つのステージに分け、「透析医療費」と透析費用を除く「その他の医療費」を解析した。

 対象者の年齢は19~75歳に分布し平均66.336±6.365歳、透析医療費は平均6万3,760±45万4,159円(0円~884万8,000円)、その他の医療費は8万6,745±20万5,162円(70円~688万5,340円)、チャールソン併存疾患指数は2.242±2.052(0~28)だった。

 患者個人の特性を考慮した固定効果モデルなどの手法により、介入による医療コスト削減効果を推定すると、透析医療費は整理効果により4.02%抑制され、さらにその後、健康改善効果により2.95%抑制されて、合計6.84%低下することが分かった。またその他の医療費は8.51%削減されることが示された。

 以上より研究グループは、「わが国の公的医療保険で実施されている糖尿病性腎症重症化予防プログラムは、介入プロセスの適正化と予後改善効果によって、医療コストを削減する」と結論をまとめている。

 なお、介入に要した直接経費は患者1人当たり27万円だった。介入により透析医療費とその他の医療費の合計が6カ月間に7万404円低下すると予測されることから、この効果が介入後2年以上続く場合に、介入経費を上回る医療費抑制効果が発揮されると考えられるという。

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参考情報:リンク先
HealthDay News 2020年6月1日
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