たばこの値上げで乳児の死亡率が減少、欧州23カ国で


この報告を受け、米国のある小児科医は「値上げでたばこを買えなくなった母親が増えたことが乳児の健康に寄与したと考えられ、当然の結果」との見方を示している。
今回の研究は、英インペリアル・カレッジ・ロンドンのFilippos Filippidis氏らが2004~2014年の欧州連合(EU)に加盟する23カ国のデータに基づき実施したもの。
同氏らがこれらの国々のデータを分析した結果、同期間に出生児1,000人当たりの死亡率が4.4人から3.5人に減少したことが分かった。
また、たばこ1箱当たりの価格の中央値が1ユーロ(約132円)上昇するごとに、値上げされた年の乳児死亡率は出生児1,000人当たり0.23人減少し、その翌年も同0.16人減少することが明らかになったという。

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一方で、その国で最も安価なたばこ製品の価格と、全てのたばこ製品の価格の中央値の差が拡大するほど乳児死亡率が上昇することも分かった。
全ての調査対象国のデータに基づいた解析では、最低価格と価格の中央値の差が10%増大するごとに、翌年の乳児死亡率が出生児1,000人当たり0.07人増加することが示された。
この研究はたばこの価格上昇と乳児死亡率の低下との間に因果関係があることを証明するものではないが、米ハンティントン病院小児科のMichael Grosso氏は「当然の研究結果」と受け止めているという。

ただ、今回の研究ではたばこの価格の差が拡大すると乳児の死亡率が上昇することも示唆された。
このことから、研究を実施したFilippidis氏らは「たばこが値上げされると、止めるのではなく価格が手ごろな格安ブランドのたばこに切り替える女性が多いのではないか」と考察。
「たばこ規制では、格安たばこの排除を視野に入れたたばこ税や価格規制の導入が必要だ」と強調している。

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