COVID-19による隔離中に遠隔リハビリが有用――藤田医大

 新型コロナウイルスに感染して隔離状態にある人のために開発された、遠隔リハビリテーションの有用性に関する論文が、12月10日発行の「JMIR Rehabilitation and Assistive Technologies」に掲載された。市販のデバイスを用いたシステムであり、低コストかつ操作が簡便で臨床導入へのハードルが低いことが特徴。藤田医科大学医学部リハビリテーション医学I講座の向野雅彦氏、大高洋平氏らが報告した。

 隔離状態が長引くと身体機能低下の懸念が生じる。それに対し予防的なリハビリテーション(以下、リハビリ)が有効と考えられるが、ウイルス伝播のリスクを伴うため、従来のようにスタッフが患者に接して行うリハビリ介入は困難である。また既に存在する遠隔リハビリシステムは、操作に慣れるまで繰り返し直接的な指導が必要であり、現在の隔離状態には適していない。さらに既存システムは一般に高価であり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックにより医療資源が逼迫している現状にそぐわない。

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 大高氏らは、昨年3月に同大学病院がダイアモンドプリンセス号のウイルス検査陽性者を受け入れた際にこれらの問題に気付き、新たな遠隔リハビリシステムを開発した。そのシステムは、患者が使用するタブレットとパルスオキシメーター、および医療者が使用するパソコンで構成されている。タブレットには、会議ソフトウェア(Zoom、Skype)とリモート制御ソフト、およびパルスオキシメーター制御アプリケーションがインストールされており、テレビ電話の要領での会話や経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)などの監視が可能。

 今回の報告は、このシステムを実際にCOVID-19患者に適用し、有用性を評価した研究である。対象はCOVID-19と診断され、同院の個室に入院し隔離状態とされた10人。平均年齢は60±18歳で、4人が男性。中等度の肺炎を呈した患者が3人、軽度の肺炎が5人で、他は無症候であり、平均在院期間は9.9±8.0日だった。SpO2は、研究開始時が94.4±2.6%、研究終了時は95.1±2.0%。機能的自立度評価法(FIM)のスコアは122.4±4.5点。

 これら10人の患者のうち、4人はタブレットやスマートフォンの使用経験がなかったが、開始に際して病室での直接的なサポートを要したのは1人のみで、他の9人はサポート不要だった。また、最初のSkype通話からリハビリ指導までに要した準備時間は、平均3.0±1.1分と短かった。

 遠隔リハビリの内容は、バイタルサインと基本的な運動能力の確認に続き、身体の動かし方を動画で伝えて患者に行ってもらい、改善点を理学療法士がSkypeなどで指導するというもの。1回のプログラムは準備時間も含めて20分だった。

 介入の有用性の検討には、TSQ(Telemedicine Satisfaction Questionnaire)という遠隔医療の満足度の評価のために開発された標準的指標を用い、患者と指導に当たった理学療法士から回答を得た。TSQは70点満点で、点数が高いほど満足度が高いと判定される。なお、患者に対してはTSQ以外に、独自に設けた5つの質問を追加し、5点満点のリッカートスコア(強い非同意が1点、強い同意が5点)で回答してもらった。

 患者のTSQスコアは65.2±6.9点(満点に対し93.1±9.8%)で、理学療法士のスコアは61点(同87.1%)だった。また患者に対する追加の質問とその回答のスコアは以下のとおり。「身体の動かし方がわかりやすい」4.3±1.1点、「安全に運動できる」4.5±0.7点、「室内環境が運動に適している」4.1±1.3点、「使用しているデバイスが運動プログラムの実行に適している」4.0±1.1点、「運動中の医療専門家との通信が役に立つ」4.7±0.7点であった。

 著者らは、検討対象者数が少ないこと、特に理学療法士が1人のみだったことなどの限界点を挙げた上で、「この遠隔リハビリシステムは、COVID-19パンデミックにより隔離状態にある感染者・患者に適用できる可能性がある」と結論付けている。

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HealthDay News 2021年2月1日
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