統合失調症や小児自閉スペクトラム症を改善するリスパダールについて解説!

リスパダールについて

はじめに
自閉スペクトラムとは2013年までアスペルガー症候群とも呼ばれていた疾患です。
自閉スペクトラムは社会的な関わりやコミュニケーション、反復的な行動様式、そして知的能力障害などを特徴とする神経発達障害です。
自閉スペクトラムの症状は小児期に始まることが多く、原因として遺伝的な要因が関わっていると言われています。
自閉スペクトラムの治療としては行動療法やサインや絵カードの交換などの言語療法、そしてリスパダール等の向精神薬による薬物治療が行われます。
本項ではそんなリスパダールについて用法用量や注意すべき事項について解説します。

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リスパダールとは?
リスパダールは1996年に販売された処方箋医薬品です。
リスパダールは医師の処方箋が無いと手に入れることができない処方箋医薬品です。
リスパダールという名称は製薬メーカーから販売されている商品名で有効成分はリスペリドンと呼びます。
リスパダールには錠剤と細粒、水剤である内用液が販売されています。
さらに錠剤には普通の錠剤と口腔内ですぐ溶けるOD錠とに別れます。
リスパダールは統合失調症の幻覚や妄想などの陽性症状や感情的引きこもりや感情の変化がみられない陰性症状を改善します。
そして小児期の自閉スペクトラムには自閉スペクトラム症によるイライラや怒りっぽさに効能があるとされています。
リスパダールの用法用量は?
リスパダールは統合失調症と小児自閉スペクトラムとでは用法用量が異なります。
統合失調症の用量用法
●錠、OD錠、細粒
通常、成人にはリスペリドンとして1回1mg1日2回より開始します。
その後、効果の程度や副作用の有無を考慮し徐々に増量します。
最終的な維持量は通常1日2~6mgを原則
として1日2回に分けて経口投与になります。
1日の最大用量は12mgになります。
●内用液
通常、成人にはリスペリドンとして1回1mg(1mL)1日2回より開始します。
錠剤や細粒と同様に徐々に増量し、維持量は通常1日2~6mg(2~6mL)を原則として1日2回に分けて経口投与する。1日最大量は錠剤や細粒と同じ12mg(12mL)となります。
小児の自閉症スペクトラムの用法用量
小児期の易刺激性に対してのリスパダールの用法用量は体重によって異なります。
●錠、OD錠、細粒
・体重15kg以上20kg未満
リスペリドンとして1日1回0.25mgより開始し、4日目より1日0.5mgを1日2回に分けて服用します。
増量する場合は1週間以上の間隔をあけて1日量として0.25mgずつ増量する。但し、1日最大量1mgを超えないこととされています。
・体重20kg以上
リスペリドンとして1日1回0.5mgより開始し、4日目より1日1mgを1日2回に分けて経口投与します。増量する場合は1週間以上の間隔をあけて1日量として0.5mgずつ増量してゆきます。
1日の最大量は体重20kg以上45kg未満の場合は2.5mg、45kg以上の場合は3mgになります。
●内用液
・体重15kg以上20kg未満
リスペリドンとして1日1回0.25mg(0.25mL)より開始し、4日目より1日0.5mg(0.5mL)を1日2回に分け
て服用します。増量する場合は1週間以上の間隔をあけて1日量として0.25mg
(0.25mL)ずつ増量します。
1日最大量は1mg(1mL)を超えないこととされています。
・体重20kg以上
リスペリドンとして1日1回0.5mg(0.5mL)より開始し、4日目より1日1mg(1mL)を1日2回に分けて服用します。増量する場合は1週間以上の間隔をあけて1日量として0.5mg(0.5mL)ずつ増量します。
1日最大量は、体重20kg以上45kg未満の場合は2.5mg(2.5mL)、45kg以上の場合は3mg(3mL)になります。

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リスパダールの副作用や注意すべき事項は?

起立性低血圧に注意
起立性低血圧とは立ち上がった際などに血圧が急激に低下し、目眩やふらつきが生じるものです。
投与初期や再投与時、増量時に起こることがあるとされています。
眠気・集中力の低下に注意
眠気、注意力・集中力・反射運動能力の低下が起こることがあります。リスパダールの製造販売メーカーより自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意するように喚起されています。
統合失調症の陽性症状の悪化に注意
リスパダールは統合失調症の症状改善に使用されますが時に興奮や誇大性、敵意等の陽性症状を悪化させる場合があります。
悪化が見られる場合は他の治療法へ切り替えます。
血糖値の変動に注意
リスパダールは高血糖や低血糖、どちらも引き起こすことがあります。
それぞれの注意すべき症状を以下にまとめました。
高血糖:口渇、多飲、多尿、頻尿等
低血糖:脱力感、倦怠感、冷や汗、振戦、意識障害等
低血糖に関しては時に重症の場合、すぐに糖分をとる必要があります。
また、これらの症状だけでは高血糖、低血糖と断定できるわけでは無いので、血液検査などで血糖値などを測定してもらう必要があります。
アルコールとの併用に注意
成人の方ではアルコールとの組み合わせにも注意が必要です。
アルコールは中枢神経を抑制する為に眠気などを誘います。
リスパダールも神経を抑制するので、相乗効果によって強い眠気や意欲の低下が起こります。
最後に
リスパダールの効能効果について解説しました。
リスパダールは錠剤や水薬、口で溶けやすいOD錠など状況に合わせた剤形の選択が可能な薬剤です。
リスパダールは増量によって眠気や症状の悪化などが起こることがあり、細かな用量の必要な薬剤です。
日々症状や状態を観察し、変化等を医師に伝えてゆくようにしましょう。

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