日本の学校給食が思春期男子の肥満抑制に効果 東大グループ


一方で、女子では過体重などの有意な低減効果はみられなかったという。
小児や思春期の若者における肥満増加は世界的な問題とされているが、世界各国に比べて日本の肥満率は低いとされている。
その要因の一つに「学校給食プログラム」の影響が指摘されているが、明確なエビデンスは得られていなかった。
研究グループは今回、過去10年間で中学校の給食の実施率が上昇した点に着目。政府統計の公開データを用いて、学校給食が思春期男女の肥満に及ぼす影響を調べた。
研究グループは、文部科学省による学校給食実施状況等調査・学校保健統計調査の公表データを用いて、2006~2015年の都道府県ごとの給食実施率と栄養状態の指標(過体重と肥満、やせの生徒の割合)、平均身長、平均体重のデータを性および年齢別(中学2年~高校1年の13~15歳)に抽出。

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パネルデータ分析の手法を用いて、都道府県レベルにおける給食実施率の前年からの変化が栄養状態の指標などに及ぼす影響について調べた。
なお、調査によると、学校給食の実施率が90%以上の都道府県の割合は、2006年の約半数から2010年には5分の3、2015年には3分の2を占めるまでに増加したという。
解析の結果、都道府県レベルの学校給食の実施率が10%増えると、男子では翌年の過体重の割合は0.37%、肥満の割合は0.23%低下することが分かった。
2015年の学校保健統計調査の報告(中学生男子の約10%が過体重、約5%が肥満)を踏まえると、学校給食の実施率の10%増加は1年間で過体重の男子の3.7%、肥満の男子の4.6%が減少することを意味するという。
一方で、女子では、学校給食の実施率の向上により過体重や肥満の減少傾向はみられたが、統計学的に有意な結果ではなかった。また、学校給食の実施率によるやせの割合や平均体重、平均身長への影響は男女ともにみられなかった。
これらの結果を踏まえ、研究グループは「日本の思春期の生徒を対象とした大規模データを用いて、学校給食プログラムによる過体重や肥満の低減効果を実証した研究は今回が初めて。
学校給食を介して適切な栄養基準に基づいた食事を提供することは、思春期の肥満を減らす有効な施策の一つになると思われる」と話している。

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